文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

No. 24 ジョン・レノン

宗教の人間観というのは、どうしてネガティブなのでしょうか。キリスト教には、原罪という考え方があって、人は生まれながらにして罪を背負っているというのです。何故でしょう。それは、アダムとイブがリンゴを食べて、自分たちが裸であることに気づいてし…

No. 23 宗教について語ることはタブーか

今、宗教について考えることに、どれだけの意味があるでしょうか。 まず、世界に目を向けると、アメリカの同時多発テロ(2001年)以降、無差別の暴力行為が後を絶ちません。石油に関する利権など、政治的、歴史的な背景もあるのでしょうが、キリスト教とイス…

No. 22 宗教の定義

誤解を避けるためには、主要な言葉の定義を明確にすることが大切だと言っておきながら、このブログでは未だに“宗教”とは何か、定義を定めていません。怠けていた訳ではありませんが、これがなかなか難しい問題なのです。 例えばリチャード・ドーキンスは、「…

No. 21 必然的に生まれた宗教

“文化の積み木”、最後のブロックが“宗教”だと言うと、少し違和感をお持ちになった方もおられることと思います。宗教の後には“国家”ができて、国家間の戦争が始まります。そして、科学が生まれる。但し、科学というのは、あくまでも現実を直視する訳で、人間…

No. 20 宗教の呪縛

日頃、宗教にはあまり関わりを持たない人も多いのではないでしょうか。しかし何かのはずみで、ふと宗教が顔をもたげてくる。人が死んだときとか、結婚式とか七五三などもそうですね。終戦記念日(敗戦記念日)もそうです。毎年、必ず靖国神社の問題が出てき…

No. 19 宗教と幻覚

シャーマニズムと宗教は、区別して考えるべきだと思うのです。結論から言えば、シャーマニズムは無文字社会にその起源がある。そのため、信仰の対象である霊魂や精霊などを裏付ける厳密な物語は存在しません。 一方、宗教は文字の普及と共に発生したものと思…

No. 18 運命に導かれたシャーマンたち

前回まで、トランス状態になることを目指して行われる初期の祭祀について述べてきました。そのような祭祀を繰り返していると、どうしてもトランス状態になりやすい人と、そうでもない人とが出てきます。また、トランス状態になった際に、霊魂の声が明確に聞…

No. 17 祭祀、それは熱狂から始まった(その2)

トランス状態を引き起こしやすい音楽というものは、確実に存在します。打楽器の奏でる激しいリズムに合わせて、人々の精神がシンクロし、やがて陶酔に至る。現代で言えば、それはロック・ミュージックに他なりません。この傾向は、ローリング・ストーンズの…

No. 16 祭祀、それは熱狂から始まった(その1)

先日、“呪術”に関する文献を探しにターミナル駅近くの本屋へ出掛けたときのことでした。バスで20分程の距離です。何気なく見慣れた街並みを見ていると車内放送がありました。「今日は夏祭りがあるので、終点までは行けない。1つ手前のバス停で降りて欲しい…

No. 15 救済手段としての呪術

未開人には、ある共通した心理状態が見られるようです。 まず、マレー人の例ですが、“ラター状態”と呼ばれるものがあるそうです。「この状態は感情が高ぶったり、あるいはただ何かに驚いただけでも、それに続いて発生するのであるが、この状態に陥るとその人…

No. 14 呪術のメカニズム

前回に引き続き、「性と呪術の民族誌」(文献1)に従って、イワム族の例を考えてみたいと思います。彼らは、次のように考えているようです。 ‐ 人は、身体と生霊から成り立っている。‐ 人が生きている間においても、眠っているときや何かに驚いたはずみに、…

No. 13 呪術とは何か

今回は“呪術”に関して、少し体系的に見てみましょう。ここでも、参考になるのは文化人類学です。 第一の類型は、“模倣呪術”と呼ばれるものです。(“類感呪術”、“共感呪術”と呼ばれることもあります。)これは、「実際に期待することがらを真似して似たような…