文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

No. 69 小川国夫/葦の言葉(その3)

講演は、秋山さんが先でした。結構な人数が集まり、秋山さんって流石だなと思ったことを記憶しています。秋山さんの講演が終わると、聴衆がぞろぞろと会場を出て行ってしまい、小川氏に失礼があってはいけないと私は大変焦ったのですが、入れ替わりで、同じ…

No. 68 小川国夫/葦の言葉(その2)

ある日、文芸サークルの先輩がこう言ったのです。「昔さあ、うちのサークルで小説家の講演会を主催したことがあるんだ。早稲田祭の時なんだけど。そう言えば、君、秋山さんと面識があるんだっけ?」どことなく先輩の口調が、他人事のような感じなんです。そ…

No. 67 小川国夫/葦の言葉(その1)

小川国夫(1933~2008)という小説家をご存じでしょうか。 小川氏は、1933年に静岡県藤枝市に生まれます。小さな宿場町だった藤枝市ではありますが、1879年頃教会が創立され、フランス人の宣教師がやって来ました。そんな環境もあって小川氏は1946年頃、終戦…

No. 66 ジミ・ヘンドリックス/バンド・オブ・ジプシーズ(その3)

奇跡的と言っても過言ではない即興演奏を披露したジミとそのバンドは、その直後、1970年1月28日、今度はマジソン・スクエアー・ガーデンでコンサートを開きます。しかし、2回目の奇跡は起こりませんでした。ジミの身体的なコンディションは、最悪だったそう…

No. 65 ジミ・ヘンドリックス/バンド・オブ・ジプシーズ(その2)

ジミが率いたエクスペリエンスも、猛烈に働いたようです。当時はライヴがバンドの主たる収入源だったそうで、エクスペリエンスも多くのステージやツアーをこなしたようです。そして、御多分に洩れず、彼らもドラッグとは切っても切れない関係に陥ってしまい…

No. 64 ジミ・ヘンドリックス/バンド・オブ・ジプシーズ(その1)

このブログのジャクソン・ポロック(No. 54)のところで、絵画を描く際のオートマティスム(自動記述法)について述べましたが、音楽の世界でも即興演奏というのがあります。意識を低下させて、もしくはトランス状態に持って行って、まさしく演奏する瞬間に…

No. 63 横光利一の短編小説/時間

人間社会の息苦しさの正体は、実は個人的無意識にあるのではないでしょうか。共感を求める。それが強く作用する場合には同調圧力となる。そして、圧力を受ける人間は、息苦しさを感じる。昼間のファミレスでは、リラックスした女性たちが延々と「だからどう…

No. 62 ジェイムス・コットン/人生の王様

不思議なことに初めて聞くのに、無性に懐かしい感じのする曲ってありませんか? また、初めて行った場所でも、何故か懐かしい感じがする。そんな経験が、私にはあります。 私にとってそんな懐かしい感じのする曲の1つが、ジェイムス・コットンというブルー…

No. 61 心のメカニズム(その5)

前回の原稿で、ゴッホは“共感タイプ”で、ゴーギャンは“観念タイプ”であると書きました。ゴッホの方は、多分、皆様も納得していただけると思うのですが、ゴーギャンについて、何故、私がそのように考えるのか、ちょっと補足させていただきます。最大の理由は…