文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

No. 206 第7章: 想像系

1.アニミズム まだ、文字を持つ前の人々には、分からないことだらけだった。例えば、地震、雷鳴、台風、日照りなどの自然現象が何故、起こるのか。それどころか、何故、一日には昼と夜があるのか。1年には何故、夏と冬があるのか。そして、人は何故死ぬの…

No. 205 第6章: 物質系

1.機能 私たちの生活の主たる部分は、“物”を利用することによって、成り立っています。物の機能を引き出す。食物などは、その代表例だと思います。肉や魚が持っている栄養分を、私たちは食べることによって吸収している。そして、物に機能を付与する。ボー…

No. 204 第5章: 身体系(その2)

3.打楽器とリズム 前回の原稿を書いた頃から、すっかり“和太鼓”に魅せられてしまいました。どうやら、和太鼓というのは、大木の幹をくり抜いて作るらしい。そして、牛皮を貼る。だから、金属が醸し出す硬質な音とは違って、深みのある優しい音が生まれる。…

No. 203 第5章: 身体系(その1)

1.“身体系”文化の起源 身体系の文化は、動物を真似る所から始まった。この点は、多分、間違いないと思います。今回調べてみて、祇園だとか浅草には鳥のサギの格好をして踊るという風習のあることが分かりました。動物の姿を真似て着飾る。動物の動きを真似…

No. 202 第4章: 競争系(その2)

“競争系”のメンタリティと、“競争系”が生み出す社会的な現象について、もう少し分解してみたいと思います。 3.恐怖型 人間は、他の動物よりも、強い恐怖心を持っていると言われています。秦の始皇帝が万里の長城を作らせたのも、恐怖心に原因がありました…

No. 201 第4章: 競争系(その1)

1.競争系とは何か 現代日本に生きる私たちは、子供の頃から徹底して“競争系”のメンタリティを叩きこまれます。例えば、小学校の運動会でさえ、赤組と白組に分かれ、若しくはクラス対抗などの名目で、競い合うことになります。そして、学期末にはテストがあ…

No. 200  第3章: 記号系

1.記号の定義 記号とは何かと言うと、それは重大な哲学上の問題であり、例えばパースは記号を66種類のクラスに分類したそうです。ここではそこまで厳密に考える必要はないので、簡単に、次のように定義しておきましょう。 記号の定義・・・記号とは、音、…

No. 199 第2章: 文化を育んだ歴史的な背景

私たち人類と、人類が育んできた文化には、とても長い歴史があります。そのため、文化を育む基本的な原理があるとすれば、それはとても強固なものであることになります。他方、私たちの目に止まる文化の表層は、急速に変化している。従って、何が不変の原理…

No. 198 第1章: 文化が誕生するプロセス

まず、ある架空の事例を提示させていただきます。場所は日本で、時期は大昔という設定です。 ある日、山奥に住んでいる少年が、川沿いの小道を歩いていた。すると、バシャという水音が聞こえる。音に気付いた少年は、何だろうと訝しく思う。魚が跳ねたのかも…

No. 197 文化領域論 目次

2018年6月 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ No. 196 目 次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ No. 197 第1章: 文化が誕生するプロセス ・・・・・・・・・・・・・・・・・ No. 198 1.記…

No. 196 文化領域論 はじめに

記号学のパース(Charles Sanders Pierce, 1839 - 1914)は、仮説と発見の論理としてのアブダクションについて、次のように説明している。 まず、驚くべき事実が観察される。 しかし、もしある仮説が真実だったとしたら、かかる事実は当然の事柄である。 よ…