文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

No. 240 憲法の声(その7) ホッブズの平等論

忘れないうちに書いておきます。歴史主義的文化人類学で分かるのは、宗教までの文化でした。これは幾度となく、このブログに書いてきたことです。そして今、私が辿ろうとしている憲法の歴史というのは、宗教以後のことです。すると、両者を足すと、人間の歴…

No. 239 憲法の声(その6) 衝撃のホッブズ

ルターやカルヴァンについて検討したことは、決して無駄ではなかったようです。当時の時代環境について知ることができたし、加えてこれから述べるホッブズの偉大さを噛みしめることができると思うからです。そして私は、このブログでホッブズについてご紹介…

No. 238 憲法の声(その5) カオスとしての宗教戦争

前回の原稿で、権力には3種類あると書きました。その呼称なんですが、最後に“権力”という言葉を加えた方が分かり易いのではないかと思い直しました。変更させていただきます。 規範制定力 → 規範制定権力軍事力 → 軍事的権力経済力 → 経済的権力 神聖ローマ…

No. 237 憲法の声(その4) 神聖ローマ帝国における権力の構造

注文していたカルヴァンに関する本(文献9)を読んでおりましたら、面白い記述がありました。 ルターが火を付けた宗教戦争は、ヨーロッパ各地に飛び火して行く。しかし、当時は現代に比べると国家という枠組みが明確ではなかった。そこで、カトリック勢力と…

進捗状況のご報告(その2)

非公式原稿とは言え、前回の原稿において、私は2つのミスを犯してしまいました。これは、訂正してお詫び申し上げるしかありません。 1つ目のミスは、ホッブスの表記ですが、正しくは最後の“ス”が“ズ”と濁る。ホッブズが正しい。2つ目のミスは、少し前提につ…

進捗状況のご報告

前回の原稿で、プロテスタントの起源までは理解できたと思うのですが、複数の文献によりますと、プロテスタンティズムを体系的に確立したのは、ルターではなく、ジャン・カルヴァンだということです。ルターが残した最大の功績は、現代の言葉で言えば政教分…

No. 236 憲法の声(その3) そして宗教改革が始まる

<1517年10月31日 95か条の提題>ローマ教皇の許可を得てアルブレヒト選帝侯が販売していた贖宥状(しょくゆうじょう)に反発したルターが、95か条の提題(以下「提題」という)をヴィッテンベルクにある教会の扉に掲示した。これが筆写によって各地に伝えら…

No. 235 憲法の声(その2) マルティン・ルターの信仰

2.マルティン・ルターの信仰 宗教改革と言えば堕落したカトリックに対し、ルターが反旗を翻した所から始まった。そうお考えの方が多いのではないでしょうか。そう説明している文献もありますが、実際にはそう簡単なものではなかった。その説明をする前に、…

No. 234 憲法の声(その1) 宗教改革の時代

私の愛する日本国憲法に対し、「あれはGHQが1週間で作ったものだ」という批判があります。しかし、そんな馬鹿なことはありえません。憲法を貫く立憲主義や民主主義という思想は、ひたすら戦争を続けてきた人類の歴史に照らして考えますと、そう簡単に発想さ…

新年のご挨拶と ”情報リテラシー” について

謹んで、初春のお慶びを申し上げます。 さて、昨年末に駅前の蕎麦屋へ行ったのです。年末になるとあちこちのお店が休暇に入り、もう蕎麦屋くらいしか開いている所はなかった。ちょっと空腹気味だった私は「鍋焼きうどん」を注文したのですが、店員さんが怪訝…