文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

文化認識論(その10) “序列依存”という心の貧困

<認識方法の変遷>1. 真似る・・・観察、関係性、自然記号2. 融即律・・・想像力、関係性3. 介在原理・・・想像力、概念、関係性4. 物語的思考・・・想像力、概念、因果関係、話し言葉5. 論理的思考・・・観察、想像力、概念、因果関係、文字6.…

文化認識論(その9) 関係性と想像力

前回の原稿の末尾に掲載しました一覧を、以下に再掲致します。 1. 真似る・・・観察、関係性、自然記号2. 融即律・・・想像力、関係性3. 介在原理・・・想像力、概念、関係性4. 物語的思考・・・想像力、概念、因果関係、話し言葉5. 論理的思考・…

文化認識論(その8) 認識方法の変遷

思えば、文字を持たない文化なり信仰においては、どうすべきか、どうあるべきか、ということに関する主張、すなわち教義は存在しないのではないでしょうか。シャーマニズムやアフリカのヴードゥー、日本古来の神道や修験道も同じだと思います。教義というの…

文化認識論(その7) 介在原理と記号分解

かつて、アイヌの人々が行っていたであろう可能性が指摘されている呪術的仮装舞踊劇。これはアイヌのみならず、シャーマニズムの世界において、広く、実施されていたに違いないと思います。参考動画を以下に添付します。この動画の素性はよく分かりませんが…

文化認識論(その6) ムックリとJaw Harp

アイヌの伝統的な楽器にムックリというのがありますが、とても不思議な音がします。竹でできたリードのようなものがあって、それを口に当てて、先端を紐で引っ張る。すると、ビロンビロンという音がなる訳ですが、実はこの楽器、もっと奥が深いようです。以…

文化認識論(その5) シャーマニズムと介在原理

少し、整理をしましょう。 AとBという2項対立があって、そこに介在(者)Cが登場する。CによってAとBの対立関係は緩和され、フラットな関係となる。やがてCを通じて、AとBが調和し、融合する。 A×BA-C-BA= C=B まず私は、このようなパターンをアイヌの民…

文化認識論(その4) 信仰の対象とその変遷

アイヌの人々は、カムイは雲の上かどこかに住んでいると考えたようです。そして、本来、カムイは人間と同じような姿形をしていると思っていた。そしてカムイは、人間の世界にやって来る時には、動物に変身する。 例えば狩猟において、熊を殺す。するとアイヌ…

文化認識論(その3) 神のユーカラ

少し前の原稿で、知里幸惠さんのことに触れました。彼女は、言語学者の金田一京介氏に見出され、アイヌの神話を日本語に翻訳しました。その作業の完成直後、儚くも持病の心臓疾患により19才で夭逝した。しかし、彼女の努力は「アイヌ神謡集」に結実した。気…

文化認識論(その2) アイヌ文化を支えた2項対立

先の原稿に記しました“物語的思考”のパターンを記号式によって表現することができるのではないか、などと思ったりします。では、記号を定義してみましょう。 × ・・・ 対立関係を示す。- ・・・ 互いに認識し合うフラットな関係を示す。= ・・・ 統合され…

文化認識論(その1) アイヌ絵本 和人になった兄

このブログのタイトルは、文化の誕生、文化で遊ぶ、文化領域論と変遷して来ましたが、今日から、文化認識論に変更致します。 まず、以下にリンク先を貼付致しますYouTubeのアイヌ民話をご覧いただきたく、宜しくお願い致します。これは本ブログの9月14日の記…

文化認識論(はじめに)

今回より、新たなシリーズ原稿として「文化認識論」を始めることにしました。このブログでは、「文化とは何か」ということを考え続けて来た訳ですが、どうも人間は文化を動かす原動力のようなものを持っている。それは“知的な本能”とも呼べるようなもので、…