文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

反逆のテクノロジー(その12) 経済原則に依存した現代のシステム

ミシェル・フーコーは、人間が自ら生きているその時代のエピステーメーを認識することは不可能だと考えていた。そうかも知れない。何しろ、思考の前提から情報から、全て、その時代のエピステーメーに依存しているのだから、それを第三者的に、若しくは客観…

反逆のテクノロジー(その11) 直線の発見

古の哲学者たちは、三角形について考えるのが好きだった。最小限の直線によって、面を構成するのが三角形で、そこから幾何学が始まる。例えば、三角形の内角の和は180度であるとか、そういうことを考えた人がいる。三角形の2辺の長さの和は、残る一辺よりも…

反逆のテクノロジー(その10) 3つの絶望

フランスの哲学者であるミシェル・フーコーは、その生涯を通じて、少なくとも3つの絶望に直面したのだと思います。本稿では、そのことについて書いてみたいと思います。 1.「人間の終焉」という絶望 最初に挙げたいのは、「言葉と物」のラストを飾る「人…

反逆のテクノロジー(その9)私たちを支配するシステム

私たちが生きている世界は、時間と空間によって成り立っていますが、どちらも連続しています。 「静岡県って、どこだっけ?」 「神奈川県の向こうだろう」 私たちは、大体、こんな風に考える訳です。空間は連続している。その連続性の中で、位置を認識するの…

反逆のテクノロジー(その8) フーコーの地図(思想経歴概略)

初めての街を歩くときは、どんなに粗雑な地図であっても、ないよりはあった方が良い。それと同じで、フーコーの思想を学ぼうとしている今、私は、極めて単純な地図のようなものを提供したいと思ったのです。遂に、フーコーの思想が夢に出てきてうなされるよ…

反逆のテクノロジー(その7) 文体について

こんなブログではありますが、4年もやっておりますと、私なりに「もっと自由に書ける文体はないか」、「もっと深く分かりやすく表現できる文体はないか」などということを考えます。小学校の頃、「だである調」と「ですます調」というのを習いました。原則と…

反逆のテクノロジー(その6) 他者の力

「君、今日は寒いだろ。だから、これが欲しくなるんだよ」 文芸評論家の秋山駿さんは、ホワイトホースの水割りの入ったグラスを揺らしながら、そう言って笑った。早稲田の文学部近くにある喫茶店でのことだった。寒いのに、何故、氷の入ったものを飲むのだろ…