2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧
昨年の暮れから、ほぼ半年に渡って、私は川端文学と共に過ごしてきた。1人の作家にこれ程魅了されるという経験は、実は、初めてである。川端文学には、人の心を癒す力がある。時代を超えて読み継がれている理由が、そこにあると思う。 さて、このシリーズ原…
川端の実生活と川端文学における本質を考えてみると、次のようなステップが見えて来る。 ステップ1: とても悲しい。 ステップ2: その悲しみは、どうにもならない。 ステップ3: 夢幻の世界に入る。 ステップ4: 夢幻の中で、美を発見する。 簡単に補足…
「古都」のシーン2について、再度、触れたい。太吉郎は、尼寺の一室に籠って、帯の図柄の下絵を描いていたのである。そこへ娘の千重子が、森嘉の豆腐を持ってやって来る。千重子はそれを湯豆腐にして、太吉郎に食べさせる。帰宅した千重子は、母であるしげ…
川端康成の小説、「古都」には実に多くの文化が登場する。例えば、「森嘉の湯豆腐」が出て来る。シーン2で、千重子の父、太吉郎は尼寺の一間を借り、そこに隠れて帯の下絵を考えている訳だが、そこに千重子が訪ねて来る。 「お父さん、森嘉の湯豆腐をおあが…
「古都」は、当時の文壇に様々な問題を投げ掛けたようだ。まず、形式的な問題があった。当時、純文学と呼ばれる作品は、まず、文芸誌に掲載されるのが常だった。そして、完成された作品は、単行本として出版される。更に時間が経過すると、文庫本になる。文…
「ああ、苗子さん、あたたかい。」 ・・・そして苗子は、千重子を、抱きすくめた。 そう書いた時、老作家の魂もまた、人肌のぬくもりに包まれたに違いない。古都、そこはエロスを超えた美の世界だった。 古都/あらすじ シーン1/春の花: もみじの大木の幹…