文化防衛論
三島は、様々な対立構造について語った。例えば、天皇と言論の自由。三島は天皇の人間宣言を批判している。つまり、天皇を相対的なものではなく、絶対的な、超越的な存在であるべきだと考えていた訳だ。但し、三島が理想とした天皇とは、戦時中、政治利用さ…
人間の中には、野生がある。この野生を解放し切った場合、どうなるのか。人間の世界には、殺人やレイプなど、ありとあらゆる犯罪が蔓延するだろう。そして三島は、人間の野生を人間性と呼び、そこから人間を守らなければならないと考えた。この人間を守る手…
三島は繰り返し文武両道を主張していたが、これがなかなか難しい。例えば、本文献(文化防衛論)には、次のような記述がある。 - 私が文武両道と申しております意味は、そのような優雅な文学が一方にある、一方には武士道があるというのが日本文化の一番本…
三島の思考対象は、広範に及んでいる。むしろ人間世界の全体に及んでいると言っても過言ではない。三島は、あたかも雑食の恐竜のように、世界のありとあらゆる事象を丸呑みしたのではないか。例えば、決起の日にあのバルコニーからばら撒かれた檄文は、ソク…
三島のこととなると、私は、ほとんどまともな評価というものを読んだり聞いたりしたことがない。例えば、野坂昭如は「赫奕たる逆光」(文献7)という本の中で、次のようなエピソードを紹介している。 野坂は、三島の推薦を受け「エロ事師たち」という作品で…
三島の複雑で難解な思想を、どう言い表せば良いのか。三島自身、何とか多くの日本人に分かってもらおうと努力した訳で、その一例が「文化防衛論」なのだと思う。三島のそのような努力にも関わらず、彼の思想が人々に理解されたとは言い難い。三島はそのこと…
敗戦後、最初に迎えた元旦、詔書が発布された。いわゆる天皇の人間宣言である。戦前、天皇は現人神と呼ばれていた訳だが、これが否定され、天皇も人間であることが宣言されたのである。戦後生まれの私などからすれば、当然のことと思う訳だが、これに三島は…
現在、世界を席捲している思想なりシステムとは何かと考えると、一応、それは西洋文明だと言える。これに中東まで含めるとその中核にあるのは、旧約聖書ではないかと思えてくる。これを更に煎じ詰めると、旧約聖書に起源を持つ世界の3大宗教、すなわちユダヤ…
武士道は、長い年月をかけて無数の武士たちが少しずつ形作ってきたものである。そもそも何故、武士という職業が生まれたのかと言うと、それは平安初期に荘園と呼ばれる土地の私有制度が生まれたことに深く関係している。当時は、まだ国家権力というものが存…
本棚をゴソゴソ探していると、奥の方から目当ての本が出て来た。三島由紀夫の「行動学入門」である。(以下「文献2」) 恐る恐る頁を開いてみると、用紙は既にこげ茶色に変色しているのだった。活字の小ささにも驚かされた。昔の文庫本は、今より一回り小さ…
本稿においても三島の世界観を表わすいくつかの用語が登場したが、それらを整理してみようと思う。全ての概念を説明した後で、図を示すのが学術的な方法だとは思うが、この段階で提示する方が、手っ取り早く読者諸兄の理解を促進できると思う。 まず、文化、…
ある人の思想を検討する場合、自我の問題を避けて通る訳にはいかない。哲学者はそれを主体と呼び、多くの場合、文学者はそれを「私」と言う。 自我とは何かと考え始めると、それはもう切りがない。しかし、何らかの基準のようなものが必要だと思うので、ここ…
本文献には、三島自身による11の論文等が掲載されている。それぞれを読み解いたところで、三島の思想を体系的に理解することはできない。そこで、これらの論文等を一度分解し、主要なテーマ毎に主張を再構築する必要があると思う。まずは、三島の人間観から…
先の8月9日に開催された長崎市の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典において、長崎市長はイスラエルを招待しなかった。すると日本を除くG7各国の駐日大使らからクレームがつき、彼らはこの記念式典を欠席した。やはり、ユダヤの支配力は大きい。特に米国をはじめと…