文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

戦争と文明(その13) 日本が抱える戦争リスク

日本はどのような戦争リスクを抱えているのだろう。 ロシアがウクライナに侵略した直後、ロシアは北方領土で3千人規模の軍事演習を行った。そのことから、ロシアが北海道に攻めて来るのではないかという論議があった。しかし、ロシアは既にウクライナ戦争で…

戦争と文明(その12) 権力の歴史

人類の歴史に沿って、権力の変遷を考えてみたい。ここで扱う歴史の区分は、以下の6種類である。 1.原始共産制 2.村落共同体 3.君主制 4.立憲君主制 5.立憲民主制 6.グローバリズム 上記の区分は、発生順に並べたものだが、それぞれの項目は、直…

戦争と文明(その11) 贈与論/マルセル・モース

幻想が権力を生み、危機に瀕した権力者が戦争を始める。前回までの原稿で、私はこのテーゼに辿り着いたのだった。では、権力とは何か。その起源は何だろう。戦争の形態は時代と共に変遷してきたのであって、そうであれば権力の形態にもいくつかのパターンが…

戦争と文明(その10) 幻想と権力、そして戦争

マスケット銃が、歩兵を生み、歩兵が民主主義を生んだ。このような因果関係は、誰にも予測できなかったに違いない。同じような話は、他にも沢山ある。 錬金術が、科学を生んだ。これはユングの説である。錬金術というのは、人工的に金を作り出す非科学的な試…

戦争と文明(その9) 永遠平和のために/カント

過去において、戦争を礼賛する哲学者や文学者がいたことは、前回の原稿で紹介した通りである。そして、哲学者の西谷修氏は、次のように述べている。 - 戦争が避けるべき「災い」あるいは端的に「悪」だと考えられるようになった、その転換を象徴するのは、…

戦争と文明(その8) カイヨワの戦争論

ロジェ・カイヨワは、1913年にフランスで生まれた。1948年には、国連の関連組織であるユネスコに加入する。ユネスコは、教育、科学、文化などの分野における国際協力を通じて、世界平和を目指す機関である。つまり、カイヨワは徹底した平和主義者だった。 カ…

自民党をディスる時事川柳

気をつけて 暗い夜道と 統一教会 近づくな あなたの街の 統一教会 萩生田さん ど壺にはまって さあ大変 おニャン子も 使い倒すぞ 自民党 自民党 賞味期限は とうに切れ 日本では 神も仏も 自民党 嫌になる こんな日本と 自民党

戦争と文明(その7) 統一教会とグローバリズム(その2)

統一教会の問題に戻ろう。 1954年: 世界基督教統一神霊協会(統一教会設立)。 1959年: 統一教会、日本での活動開始。 1962年: 文鮮明は渡米し、CIAのキャロル陸軍中将らと面会する。 1968年: 統一教会の文鮮明が韓国に国際勝共連合を設立。 1988-1991…

戦争と文明(その6) 憲法と米国の対日占領政策

前回の原稿において、「1947年に日本国憲法が施行されたのだが、奇しくも、その年に米国の基本政策が転換された可能性が高い」と書いた。米国は、日本に対する占領政策を何故変更したのか。この問題がどうしても気になって仕方がない。そこで、いつもの本屋…

文明と戦争(その5) 統一教会とグローバリズム(その1)

宗教と国家の間には、永い相克の歴史がある。簡単に述べてみよう。 古代において、シャーマニズムを基軸とするローカルな集団が誕生した。部族と言っても良い。彼らは、自分たちの価値観や信仰をうまく伝えることはできなかったはずだ。彼らは、歌い、踊って…

戦争と文明(その4) フロイトの思想、エロスと破壊欲動

1932年と言えば、第1次世界大戦が終結し、国際連盟が組織された後で、第2次世界大戦が始まる7年前のことだ。その年、国際連盟はアインシュタインに対し、粋な依頼を行ったのである。それはまず、今の文明にとって最も重要であると思われる問いを選定するこ…

戦争と文明(その3) 集団幻想としての対米従属

政治学者の白井聡氏の著作、「長期腐敗体制」(角川新書)を読んだ。とても興味深い本で、久しぶりに一気に読み終えた。何が書いてあるかと言えば、日本の権力構造が腐っているということなのだ。しかもそれは、長期に渡って腐り続けていて、かつ、それは誰…

戦争と文明(その2) 洞窟の比喩/プラトン

暗い洞窟の奥深くに、多くの囚人たちが鎖に繋がれている。彼らは、洞窟の壁に映し出される影のみを見て、生きている。彼らは、それが現実であり、この世界の全てだと信じている。ある日、1人の囚人の鎖が解き放たれ、外に出ることが許される。洞窟の外に出た…

戦争と文明(その1) 人間は何を守ろうとしているのか

人間は集団を作って、ここまで生き延びてきた。そして人間は、その集団の結束力を強めようとする。結束力の強い集団は、そうでない集団よりも戦闘能力が高い。そして、戦乱の世にあっては、結束力の強い集団の方が生き延びる確率が高い。 では、人間はどのよ…

戦争と文明 はじめに

今年の2月24日にロシア軍は、ウクライナへの侵略を開始した。それ以来、戦争という2文字が、私の脳裏から消えた日はない。 人間は、何故、戦争を繰り返すのか。そこに原理はないのか。もし、原理があるとすれば、戦争を回避する手段だって、見つかるのでは…

私の個人主義/夏目漱石

夏目漱石が生まれたのは明治維新の前年、1867年のことだった。すなわち漱石は、明治という時代と共に成長したのであり、文明開化の申し子だったとも言えよう。漱石の名は「坊ちゃん」などの小説によって有名になった訳だが、彼が日本人に愛され続けているの…

野蛮からの脱出

ウクライナ戦争について、1つ確実に言えることがある。それはこの戦争が、人類の戦争史上、最も撮影された戦争であるということだ。言うまでもなく、それはスマホとドローン技術によってもたらされた。そして、それらの技術がブチャで繰り広げられた惨劇を…

秩序化としての戦争

人間の歴史のある側面を捉えると、それは秩序化の歴史だったと言える。簡単に述べよう。まず、人数の少ない部族で集まり、それが次第に人数を増やし、民族という概念に至る。民族で集まろう。同じ民族同士で仲良くしよう。それが、民族主義である。しかし、…

独裁者は民主主義を恐れる

ひとたび戦争が始まると、その地域や国に住んでいる人々が永年に渡って育んできた文化やその成果物は、破壊される。それは歴史的な建築物や優れた芸術作品に限ったことではない。例えば、あるお婆さんがいて、彼女はとてもおいしいシチューを作ることができ…

中立ということ

2月24日にロシアがウクライナへ侵略して以来、私は、憂鬱な毎日を過ごしてきた。21世紀の今日において、このような侵略戦争が勃発したことに驚くと共に、一体、何をどう考えれば良いのか、思いあぐねていたからである。両国を中心に人的な被害は拡大する一方…

救済としての芸術(その8) エピローグ

森友学園事件。時の総理大臣を守るために、財務省は公文書を改ざんすることにした。改ざん作業を命じられた赤木俊夫さんは、良心の呵責に苛まれ、精神のバランスを崩し、自殺した。夫の死の真相を知りたいと願った妻、赤木雅子さんは国を相手取って、1億700…

救済としての芸術(その7) 個人の時代

「真善美」というのは、ソクラテスが言った言葉らしい。この言葉を少し、私なりに解釈してみたい。 「真」とか真理というのは、「全ての人々が幸福になる方法」のことだ、と私は考えている。そうしてみると、これは人間社会の秩序に関わることだと言える。次…

救済としての芸術(その6) 芸術の力

人は、その人生を文化領域の中から始める。家族がいて、生活がある。そこに留まる人生もある。専業主婦や、1次産業従事者、職人の方々は、文化領域の中で暮らしている。例えば、私の知っているある寿司屋の大将は、小さな漁師町で生まれた。高校を卒業すると…

救済としての芸術(その5) 消え去る「知」

秩序の構造について、もう一度、整理してみよう。 まず、文字が生まれた。文字が「知」を作り出す。「知」とは、文明に影響を及ぼす何らかの思想や理念、若しくは知恵のことだ。「知」は、それを知っている者と知らない者との間に差異を作り出す。知っている…

救済としての芸術(その4) エクリチュールを巡る闘争

最も古い文学は、無文字社会において口頭で伝承された民話や童話だろう。そこには動物たちに対する愛情や、素朴な人々の暮らしが描かれている。そこに権力の匂いは存在しない。何故かと思う訳だが、無文字社会においては、権力そのものが存在していなかった…

救済としての芸術(その3) 哲学はいつから科学になったのか

哲学と科学との間には、その起源から緊張関係が存在していた。最初の哲学者と言っても良いであろうソクラテスは、当時の自然学と決別し、独自の思想を構築したのである。しかし、多くの哲学者は、目覚ましい発展を遂げる数学や自然科学を横眼に見ながら、ど…

救済としての芸術(その2) 文化、秩序、そして主体

現代文明を根底から支えているのは、文化である。それはとても永い歴史を持っていて、私たちの暮らしと密接な関係を持っている。文化は、融和的であり、女性的で、そこにおけるコミュニケーションは、パロール(音声言語)に依拠している。 文化は、主に小集…

救済としての芸術(その1) はじめに

今日の日本の状況について、皆様はどうお感じになっているだろうか。上級国民と呼ばれる一部の政治家は、法を犯しても罰せられない。新自由主義とか緊縮財政と呼ばれる勢力が政治や経済を牛耳っており、日本の国民は酷く貧しくなった。それでも半分近くの国…

お知らせ

本ブログは「反権力としての文明論」を掲載中でしたが、これを断念することに致しました。以下にその理由を説明させていただきます。 まず、文化と文明の関係について。このブログはそのタイトルにあるように、「文化」という枠組みで検討してきた訳です。し…

れいわ新選組 支持者の皆様へ!

れいわ新選組を支持されている皆様へ! 大勝利、おめでとうございます! 私も嬉しくて、たまりません。 当選者 山本太郎(東京ブロック) 多カ谷亮(南関東ブロック) 大石あきこ(近畿ブロック) 事前情報では、山本太郎ですら危ないと言われており、心配し…