文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

反グローバリズム!

前回の記事を掲載してから、わずか数日しかたっていませんが、選挙前ということもあって、世の中では様々な変化がありました。本日、6月26日をもって国会は閉幕し、参院選の日程も決まったようです。

 

公示・・・・7月4日
投開票・・・7月21日

 

衆院の解散がないということは、10月の消費税増税は確定したものと思われます。複数の経済評論家が、日本経済の危機を憂いています。日本経済は、更なるデフレの深みに嵌ってしまいそうです。

 

“れいわ新選組”の寄付金は、2億円を超え、太郎さんと蓮池さん以外の候補者も、既に決まったそうです。そして明日(27日)、発表記者会見が予定されています。楽しみで仕方がありません!

 

ところで、このブログでは「国債発行に基づく政府の日銀に対する債務は、返済する必要がない」と述べてきましたが、この認識に間違いはなさそうです。MMTに関する左派の経済学者、松尾匡(ただす)氏が主催している薔薇マークキャンペーンのプロモーションビデオがあって、その中でもこれは「事実上の永久債であって返済する必要はない」と明確に述べられています。7分12秒のビデオで、MMTの要点が良くまとめられています。是非、視聴されることをお勧め致します。(松尾匡氏は、太郎さんのお師匠さんのような方です。)

 

#薔薇マークキャンペーン プロモーションビデオ
https://kusuyama43.amebaownd.com/posts/5820027


さて、私の検討結果からすれば、私たち日本人は、アメリカと大企業によって支配されている。ここでは、大企業による支配について考えてみます。

 

大企業 → 経団連 → 自民党
大企業 → 連 合 → 立憲民主党、国民民主党
大企業 → マスメディア → 国民

 

このように考えますと、私たちは自民党に投票しても、立憲民主党に投票しても、結局、大企業の支配から逃れることはできない。そして、愚民政策を推進しているテレビを見ると馬鹿になるし、大企業が販売している商品の情報ばかりが刷り込まれる。

 

但し、大企業にも良い側面があります。大企業は、大量生産によって低価格な商品を我々に提供している。豊富な資金力を背景に、新商品を開発している。私たちが日常的に、当たり前のように使用している便利な商品の多くは、大企業が開発したものです。更に、多くの雇用を生み出しているという事実もあります。

 

してみると、大企業と言っても、良し悪しがあるに違いない。この点、損益計算書をベースに少し考えてみましょう。

 

これは会計年度ごとに作成が義務付けられている財務諸表の一種ですが、1年間の企業活動を端的に示すものだと言えます。

 

一番上に、売上高という大きな数字があります。そこから、企業が支払った原材料費だとか、人件費などが差し引かれていきます。そして、税引き前(税金を支払う前)の利益、すなわち経常利益が算出され、更に、税引き後の利益、すなわち純利益が算出されます。この純利益については、どう処分するかの原案が策定され、株主総会の議決を経て、配当金として支払われたりする訳です。簡単に言えば、企業活動というのは、こういう風になっている。

 

してみると、上記の各項目から、企業にとっての利害関係人が見えて来ます。この利害関係人のことを、一般に“ステークホルダー”と呼びます。

 

売上高・・・・顧客
原材料費・・・取引先
人件費・・・・従業員
税金・・・・・国家
配当金・・・・株主

 

地域社会や地球環境をステークホルダーに加える例もありますが、ここでは省略します。また、通常、国家はステークホルダーに含まれませんが、重要な意味があるので、ここでは含めて検討します。

 

すなわち、上の一覧の右側に記した各ステークホルダーと良好な関係を構築している企業は、良い企業だということになります。顧客に良い商品を提供し、取引先とは公正な関係を構築し、従業員には適正な賃金を支払い・・・ということになります。

 

皆様の大企業に対するイメージは、いかがでしょうか。昔は、善良な大企業があったという話を良く聞きます。松下幸之助の松下電機だとか、本田宗一郎のホンダ技研などが、その例として挙げられます。

 

しかし、最近、そういう話はあまり聞きません。何故か。それは、株主が外国人になったからではないか。そういう前提で考えてみると、腑に落ちるところがあるのです。外資系企業と言っても良いと思います。

 

外資系企業の場合も、顧客は大切にします。そうでなければ、売上高を確保できません。しかし、原材料費とはコストそのもので、取引先との関係などは、重視しません。実際、カルロス・ゴーンが日本にやって来て、最初に手を付けたのは、部品購入費の削減でした。次に、外資系であれば人件費も削減対象となります。更に、税金(法人税)などは、ビタ一文払いたいとは思っていない。なにしろ、外国人なので、日本国に税金を納めたいと思うインセンティブがない訳です。そして、配当金。外国人株主は、ひたすらこれを求めている。投資しているのだから、そのリターンを求めるのは当然だ、ということになります。

 

株主が日本人であれば、取引先や従業員に対して、多少なりともシンパシーを感じるはずです。しかし、外国人にはそれがない。ただ、利益を上げて、自分たちは配当金を受領したいと思っている。これが、グローバリズムのカラクリではないでしょうか。(外国人株主を責めている訳ではありません。仮に私が外国企業の大株主であれば、同じように考えるのではないか。)

 

実際、外国人株主が増加するにつれ、労働者の実質賃金は低下し、法人税収も低下し、株式配当は増加している。こんなことで、日本経済が良くなるはずがありません。

 

更に言えば、グローバリズムと民主主義は両立しないという問題もあります。いくら日本の国会で法律を作っても、グローバル企業は世界を舞台に活動している訳で、その活動全般を日本法で拘束することができない。どうしても日本法では、制限できない部分が出てくる。例えば、タックスヘイブンペーパーカンパニーを作って節税するケースなどがこれに当たります。いくら日本に労働法があっても、海外の日本人勤務者には適用されないのではないでしょうか。グローバリズムの側に立つか、民主主義の側に立つか。私は民主主義の方を選びます。