文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

反グローバリズムのススメ

日本の政治はとても複雑です。1つには、敗戦という歴史的な背景がある。更に、権力を持っている者が愚民化政策を進め、巧妙な支配システムを構築している。平気で嘘を付く政治家は、枚挙にいとまがない。最近、「嘘つきは東京オリンピックの始まり」と言うそうです。

 

とても複雑なので、若い人に興味を持てと言っても、ちょっと無理があるかも知れません。また、情報源がテレビと新聞だけの人や、仕事で多忙な人に対しても、これを理解しろと言うのは酷かも知れません。かく言う私も、一度は立憲民主党を支持するという過ちを犯しており、偉そうなことは言えませんが、若くも忙しくもないので、簡単に見解をまとめてみることにします。(現在、私は“れいわ新選組”を支持しています。)

 

かつて、日本は封建制だった。お殿様や天皇陛下を敬う社会だった。この体制がいい、伝統を重んじようと思う人たちがいる。この人たちを、右翼と呼びましょう。これに対して、労働者の権利を主張し、富の配分を公平に行うべきだ、という社会主義的な考えを主張する人たちが現われる。この人たちを左翼と呼びましょう。かつては、これらの右翼と左翼が激しく対立するという構図にあった訳です。

 

そこで、第2次世界大戦での敗戦を迎える。アメリカの進駐軍がやって来る。当初、アメリカは、日本に存在する右翼も左翼も、その双方を認めなかった。右翼の肩を持つと、日本が再びアメリカに戦争を仕掛けるかも知れない。かと言って、日本が共産主義に傾倒するのも困る。アメリカが考えたのは、未来永劫、日本を弱体化することだった。そこで、敗戦の翌年、1946年に日本国憲法が公布される。戦後の混乱期にあった日本において、この憲法がどのように受け止められたのか、私は知りません。しかし、この憲法国民主権基本的人権の尊重などを謳っていたことから、これは革命的な価値観の転換を招いたであろうことは確かだと思います。そして、9条に定められた平和主義。解釈改憲によって、今日における意味合いは随分と変容していますが、基本的には無抵抗主義を標榜する、世界にも類を見ない平和憲法だった訳です。これは素晴らしいということで、左翼の人たちは憲法を高く評価した。

 

ところが、1950年に朝鮮戦争が勃発する。するとアメリカは、地政学上の日本の重要性に気付いた。ソ連や中国などの共産国に対し、その防波堤となる役割を日本に負わせようと考えた。そこでアメリカは、日本の右翼の肩を持つようになった。そして、アメリカにおべっかを使い、尻尾を振る人々が現れる。ここら辺が、難しい。

 

本来の右翼を「真正右翼」としましょう。これに対して、アメリカに尻尾を振る右翼については、エセ右翼、親米右翼、経済右翼などと呼ばれることがありますが、ここでは「対米従属右翼」と言っておきましょう。

 

A 真正右翼・・・三島由紀夫一水会など。
B 対米従属右翼・・・岸信介安倍晋三自民党清和会など。

 

一方、戦後の左翼運動というのは、主に労働運動という形を取ったのだと思います。労働者の権利を守れということで、労働組合がその担い手となった。しかし、企業側の懐柔工作があって、企業の業績に資することを目的とする労働組合が登場する。このような組合は、御用組合と呼ばれた。この流れを汲むのが、労組の団体である連合であり、政党では立憲民主党、国民民主党だと思います。便宜上、ここでは、「対米従属左翼」と呼びましょう。

 

C 対米従属左翼・・・連合、立憲民主党、国民民主党

 

言うまでもなく、BとCは対米従属という点では一致している訳で、双方の親和性は高いことになります。実際、立憲民主党の枝野代表は、結党後、渡米しCSISとの面談を行っています。関連記事のリンクを貼っておきましょう。

https://cdp-japan.jp/news/20180914_0871

 

ちなみにCSISというのは、民間のシンクタンクですが、アメリカ政府に対して、影響力を持っている。そして、CSISの開催するセミナーで講演をすると、CSISのお墨付きが与えられると言われています。麻生財務大臣が日本の水道を民営化するとぶち上げたのがこれですね。

 

私は、日本国憲法は大変素晴らしいと思っています。しかし、そこには隠されたメッセージがあることも事実です。すなわち、アメリカは永久に日本を貧困化させようと考えていたということです。すなわち、憲法9条との関係で財政法という法律も制定され、日本は勝手に国債を発行して、国の発展を図ってはならない、という足かせが嵌められたのです。勢い、憲法を守れと主張して来た左翼は、緊縮財政を主張する。この緊縮左派の人たちというのは、現在、ほぼ、対米従属左翼と連動しているように見えます。

 

そこで、今までにはなかったカテゴリーで、すなわち「反緊縮左派」というポジションで出てきたのが、れいわ新選組だと思います。反緊縮、反グローバリズム、対米自立を主張するのがれいわ新選組で、このような国政政党は、他にないと思います。

 

では、一覧にしてみましょう。

 

A 真正右翼・・・三島由紀夫一水会など。
B 対米従属右翼・・・岸信介安倍晋三自民党清和会など。
C 対米従属左翼・・・(緊縮左派)連合、立憲民主党、国民民主党
D 反緊縮左派・・・れいわ新選組

 

ここまで来ますと、ほぼ、右左の対立関係は弱まってきます。むしろ、アメリカに象徴されるグローバリズム反グローバリズムの戦いになって来る。そこで、AとDが接近し、BとCが近づく。YouTubeで「兵頭正俊の状況の交差点」という番組を運営されている兵頭氏によれば、結局のところ、次の対立関係に集約されるということです。私も、この区分に賛成です。

 

グローバリズム売国・・・・B+C
反グローバリズム/愛国・・・A+D

 

グローバリズムというのは、新自由主義と近い概念だと思いますが、郵政の民営化、TPP、種子法の廃止、水道民営化等々、国境を越えて多国籍企業が儲かる仕組みな訳で、結果として日本国内の資産が、海外に流出する。日本の資産を海外に流出させるという意味で、売国につながる訳です。現在、国会で審議中の日米FTAが最後のトドメになりそうで、私としては大変心配しています。