文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

文化認識論(その23) 認識方法と社会システムの変遷

結局、人間の歴史というのは、次のようになっている。・・・と、私は思います。

 

古代 ・・・ 芸術 ・・・ シャーマニズム
中世 ・・・ 宗教 ・・・ 君主制
近代 ・・・ 理性 ・・・ 民主主義
現代 ・・・ 記号 ・・・ グローバル資本主義

 

狩猟・採集を行っていた古代人は、他の動物に触発され、芸術を生み出した。主として狩りを行っていた男たちが壁画を描くなどして、美術を生み出した。動物の真似をした女たちが踊りや音楽を生み出した。そして、動物に想像力を触発された人々が、物語を語り始めたに違いない。古代人は、懸命に何かを認識しようと試みていた。古代人が生み出した認識の方法、それが芸術の起源であり、本質だと思います。

 

そして古代の社会は、幾多の危機に直面した。それは、自然災害や、疫病だった。すると、人間集団の中にリーダーが現われる。その人こそが、シャーマンである。シャーマンは人間集団を代表して、神に祈りを捧げる。シャーマニズムは、人間が発明した最初の社会システムだったに違いない。

 

やがて、文字が発明される。文字によって、人間が想像する世界は拡大した。そして、宗教が生まれる。宗教は3つの芸術、すなわち美術、音楽、文学を吸収し、総合することによって、発展を遂げる。そして、シャーマンという資格は世襲によって継承され、君主となる。この君主制という社会システムは、宗教との親和性が高い。権力者である君主は、宗教を利用して、権力基盤の強化を図った。

 

そして、ヨーロッパにおいて土地と宗教を巡る戦争が勃発する。人々はさんざん殺しあった挙句の果てに、戦乱の世に嫌気が差してくる。なんとか戦争を止められないだろうか。そう考える思想家が登場する。少なくとも、人間には生きる権利がある。トマス・ホッブズはそう考えた。ホッブズの思想は、ジョン・ロック、ルソー、そしてカントへと引き継がれる。カントは考えた。数学の世界はとても発達しているのに、人間の社会は何故、かくも混乱しているのか。例えば、三角形の面積を計算するような能力が人間にはある。同じような能力をもって、人間や人間社会を考えることはできないのか。そこで、カントは「理性」に注目した。

 

イギリスでは、王様の横暴に異議を唱える人々が、議会制による政治システムを主張する。こうして、宗教に代わって、民主主義が生まれた。

 

そこで、アメリカという新天地が登場する。国境をまたぐことなく、自由に広大な土地、市場を行き来することのできるアメリカは、ヨーロッパを凌ぐ経済的な発展を遂げた。ヨーロッパは没落し、アメリカの時代となった。2度の世界大戦を経て、アメリカは世界の中心に躍り出た。アメリカが世界に示したのは、自由主義経済であり、科学の力であり、グローバリズムだった。IT技術の発達もあり、人々は理性を捨て、短絡的な記号によって認識するようになった。これが現代という時代だと思います。

 

このブログを始めて、3年半になりますが、私が認識した世界というのは、簡単に記すと上記の通りです。人間の歴史というのは、すなわち認識の歴史だとも言えるように思います。

 

ちなみに私は、古代と近代を肯定し、中世と現代を否定しています。