文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

真理と権力

それにしても、現在の日本で幸福になることはとても難しい。もちろん、理由はコロナだけではありません。ちなみに私の場合は、次のような事柄で疲れてしまうのです。

 

モリ、カケ、サクラ、アンリにクロカワ。

 

前法相の河合克行氏は、アンリの選挙で金をばら撒いたらしい。その額、2千万。辞めた黒川検事長は、マージャン賭博。多くのメディアは、緊急事態宣言下にあって、3蜜のマージャンをやったことを非難している。そうでしょうか? 換気扇を回して、マスク着用の上でやっていたかも知れない。賭博が悪いという人もいる。そうでしょうか? かく言う私だって、学生時代には賭けマージャンなんてしょっちゅうやっていました。レートは千点10円でしたが。賭博が悪いと言うのであれば、公共ギャンブルだって悪いし、カジノなんてもっての他だと思います。本質は、メディアの人間と癒着していたことにある。黒川は検察行政に関する内部情報を漏洩していたに違いない。記者の側は情報を得るが、検察行政を批判できなくなる。結果、メディアが報道すべき真実が国民の前に明かされることがなくなる。元厚生労働大臣の村木さんに対する事例のみならず、検察が冤罪事件をでっち挙げてきた例は、決して少なくない。

 

サンケイと朝日には、猛省を促したい。

 

余計なお世話であることは承知の上で、そもそも最高権力者である安倍総理が幸せなのか、考えてみました。

 

最近のトピックスとしては、アベのマスクというのがある。テキトーに配布しようと思ったら、カビが生えていたり毛髪が混じっていたりした。これはいけない。サイズが小さすぎる上に、洗えば縮むらしい。アベノマスクは、未だにほとんど配布されていないが、市中には既にサージカルマスクが流通している。世間からは、さんざん馬鹿にされ、遂にアホノマスクと呼ばれるに至った。本人、結構エゴサーチをしており、こういう話は気にしているらしい。

 

昨日、国会の答弁でルイ14世と言うべきところをルイ16世と言い間違えた。すると早速ネット上では、そんなにギロチンに掛けられたいのか、などと揶揄する声が上がる。

 

しかし、安倍総理の最大の懸念は、2つの刑事事件ではないでしょうか。1つは前述の河合克之、アンリ夫妻の公職選挙法違反。これ、自民党本部から1億5千万円が送金されたらしい。仮に夫妻が2千万をばら撒いたとしても、まだ1億3千万円残る。その行方はどうなったのか。ネット上では、安倍総理個人に対する刑事告発がなされたという情報もある。自民党本部に対するガサ入れが必要ではないか、とも言われています。

 

もう1つは、サクラの前夜祭。昨日だったか、法曹界錚々たるメンバー662名が連名で、安倍総理に対して刑事告発を行った。こちらの事案は、驚く程シンプルだ。前夜祭の参加費は5千円だったというのが安倍総理の主張だが、ホテル側の一般的な説明としては最低でも1万1千円とのこと。そしてホテルは、当時の契約関係書類を保管している。今日まで野党の国会議員もこの問題を追及してきたが、彼らが持っているのは憲法に規定された国政調査権に過ぎない。しかし、検察が動くとなれば、強制捜査が可能となる。ホテルに対し、当時の書類の提出を命令すれば、ホテル側はそれを出さざるを得ない。それにしてもこの件、検察も難しい判断を迫られている。何しろ、相手は時の総理ですから。

 

安倍総理は、2つの時限爆弾を抱えている訳で、これはもう誰がどう考えたって、ピンチなのです。そこで、検察行政に介入しようとして、政権の守護神とも呼ばれる黒川検事長検事総長に格上げしようとして、画策した。思えば、ドリル裕子だって、メロン菅原だって、加計学園から2百万円の政治献金を受けた下村博文だって、皆、黒川に守ってもらったのだ。今度は、安倍総理自身、黒川に守ってもらおう。そう考えたとしても不思議はない。しかし、頼みの綱だった黒川が、あっさりマージャン賭博で辞任。

 

これはもう、大ピンチだと思う訳です。並みの神経ならば、とても持たない。

 

真面目な話、前法務大臣の河合克行氏に対する逮捕許諾請求を検察が国会に提出した場合、もしくはサクラの前夜祭に関する刑事告発を検察が受理した場合、その時点で安倍総理の政治生命は終わるのではないでしょうか。

 

これはもう安倍総理は、幸せではないに違いない。いっそのこと、気楽に暮らしている私の方が幸せなのではないか、とさえ思えてきます。

 

本日発表された毎日新聞による世論調査は、次の通り。

 

政権を支持する ・・・ 27%
政権を支持しない・・・ 64%

 

確実にツイッターデモが効いている。支持率が30%を切れば、その政権は危険水域だと言われています。あと少し。あきらめてはいけない!

 

日本国民の過半数が、物事を正しく認識し、正しい投票行動を取れば、解決できない問題はない。アメリカから独立することだって、十分可能なのだ。最近、私はそう思うようになりました。

 

ところで、私は次の通り、人間のタイプを4つに分けて考えてきました。

 

大 衆・・・知識
芸術家・・・知識 + 想像力
権力者・・・知識 + 思考能力
単独者・・・知識 + 想像力 + 思考能力

 

そして、これらの関係は、次のようになっているのではないかと思うのです。

 

(真理) ← 単独者 - 芸術家 - 大衆 - 権力者 → (権力)

 

左に行けば行くほど、物事を論理的に考え、言わば真理を探究しようとする。反対に、右に行けば行くほど、既得権に固執しようとする。そういう関係にあるのではないか。

 

単独者というのは、想像力も思考力も兼ね備え、たとえ1人になったとしても行動する人のことです。昨今の時局を見ておりますと、次の方々は単独者であると思います

郷原信郎氏・・・元検事。今はヤメ検弁護士として、検察批判などを行っている。

 

藤井聡氏 ・・・京都大学大学院教授。かつては安倍政権の内部にいたが、政権を飛び出し、今はコロナ対策、経済政策などで、政権批判を活発に行っている。MMT支持者。

 

山尾志桜里氏 ・・・元検事。立憲民主党を辞め、今は無所属で活躍中。

 

いずれも、他人を思いやる想像力と論理的な思考力を身につけた立派な方々だと思います。どうやら、この単独者というのは、私が思っていたよりも世間には沢山おられるのではないか。上記の立派な経歴を持った方々のみならず、普通の暮らしをしている人々の中にも、単独者は少なからず存在するのではないか。例えば、「#検察庁法の改正に抗議します」と最初に発信した人。この方、30代の女性会社員だそうです。今まで、あまり政治には興味を持っていなかったそうですが、ツイッターではフェニミズムについて語っていたとのこと。彼女の提唱したツイッターデモは、確実に安倍政権の支持率低下に貢献したと思います。凄いですね。ネットには、現実の政治を動かす力がある。この国の主権者は、私たち国民なのだということが証明されたのです。

 

但し、一般論からしますと、単独者の主張というのはロジカルで、難しい場合が多い。大衆には届きにくい。そこで、単独者と大衆を仲介する役割を担う人が必要になる。それが、芸術家ではないか。芸術家と言うと少し大仰かも知れませんね。今風に、アーティストと言ってもいい。前述のツイッターデモでその役割を果たしたのは、著名な俳優や歌手だった。

 

覚醒した単独者が行動を起こし、それに共感したアーティストが情報を拡散する。そして遂に、マジョリティである大衆の心を揺さぶる。こうして、社会は変革されていくのではないでしょうか。これ、正に文化が本質的に持っているダイナミズムだと思います。

 

そして大衆ですが、彼らの頭の中には過去の経験についての記憶と、知識しかない。従って、彼らの話には起承転結がない。「だからどうということのない話」が多くなる。彼らの話にはオチがない。この人は何を言いたいのだろう、と思いながら聞いていると、とても疲れる。大衆の話には、主張がない。そして鬱屈した大衆は、権力に対し、自発的に隷従する。どうしてそういうことが起こるのか。その秘密は、どうやら彼らの職業と関係がある。

 

ちなみに自民党の支持団体をWikipediaで調べてみると、その大半は同業者団体なのです。(唯一の例外は、宗教団体でした。)そもそも、自由主義社会であるはずの日本において、何故、かくも同業者団体が林立しているのか。それは、政治家や官僚に隷従するためではないか。同業者団体を作って、政治献金を行う。そして、業界に対する補助金を要請する。また、日本の官僚がやることは、大衆に対する意地悪に満ちている。官僚の作るルールというのは煩雑で、一般大衆には理解できない。例えば、今回のコロナ対策で雇用調整助成金を申請できることとなりましたが、当初、その申請書類は60種類もあって、とても通常人では対応できないものだったそうです。批判があって、今は簡略化されたようですが。このように、官僚は大衆に意地悪をする。だから、同業者団体を作って、例えば官僚の天下りを受け入れるなどして、官僚に隷従する訳です。その他にも、業界に対する新規参入者を抑制するという目的もあろうかとは思いますが・・・。

 

もう少し考えますと、大衆というのは、転職しにくい人たちのことではないか、とも思うのです。例えば、大学を出て英語ができて、IT技術でも持っているような人であれば、転職は比較的容易だと思います。他方、農家や漁業に携わっている人たちというのは、転職しにくい。農家であれば、それは先祖代々受け継いだ土地との関係がある。それを手放すことには抵抗がある。漁師であれば漁業権という既得権をベースに稼業が成り立っている。老舗旅館なども、事情は同じだと思います。このような職業に従事されている方々というのは、原則的には世襲で、既得権に基づいて、生計を立てている。転職は困難な訳です。すると当然、現在の社会制度がそのまま維持されることを望む。だから、時の権力者に隷従し、変化を望まないということになる。

 

自民党の政治家の中に世襲が多いのと同じように、大衆の職業も世襲が多い。

 

このように考えますと、今般のコロナ禍で最も被害を受けるのは、大衆だろうということになる。これは、政府が積極財政に転じ、国家的な事業を立ち上げ、仕事を確保すべきだと思います。

 

また、上に記した図を見ていて思うのは、左の方向、すなわち真理の探究に向かう思想的背景としては、根源的には哲学があり、表層的には法律学があるように思います。

 

(真理) ← 単独者 - 芸術家 - 大衆 - 権力者 → (権力)

 

そもそも検察庁の組織はどうあるべきか、三権分立はどう確保すべきか、立憲主義は、民主主義は、という論題は、哲学者や法律学者が考えてきたものです。他方、権力を持った者がどのように権力を行使すべきか、という点を解き明かすのは経済学ということになるでしょう。政権を担う政党には、法律学と経済学の双方に対応する能力が必要だということになります。