前回の原稿を掲載した翌日には、孤立化する米国の姿が明らかとなった。米国はイラン戦争への応援を要請したが、NATO加盟国を中心に、ほぼ全ての国々がこれを拒否したからである。そんな中、高市総理の訪米があった。トランプに抱き着く彼女の姿を見て、私は哀れに思った。媚びを売るあの姿態は、日本の姿そのものを象徴していたからである。但し、かつて米国の1の子分は英国であったが、今や日本こそがその座にいるとも言える。最早、どこの国にも相手にされなくなった米国は、日本を頼りにしているのである。
結局、米国という国は、何年かに1度は、戦争を仕掛けないと持たない国家構造になっているに違いない。国内には軍産複合体というのがあって、彼らのビジネスは、武器を製造し、消費することによって成り立っている。また、トランプの支持層にキリスト教福音派と呼ばれる人々がいるが、彼らの思想は終末思想とイエスの再臨にあるらしい。また、イエスの再臨は「ユダヤ人のイスラエル帰還」が前提となっており、これはシオニズムと親和的であり「クリスチャン・シオニズム」と呼ばれる。こうして米国は、ユダヤ対イスラムの紛争に参加し、中東における戦争を主導することになる。そして、いくらでも発行できると思われてきた国際基軸通貨である米ドルが、戦力を下支えしている。
無神論者である私などからすれば、まったくもって馬鹿馬鹿しい話である訳だが、そんな戦争に巻き込まれて死んでいく子供たちのことを思うと、胸が痛む。
また、そんな狂気に満ちた米国に支配されているのが日本なのだから、絶望したくもなろうというものだ。しかし、日本は既に政治、経済、軍事からマスコミに至るまで、米国に支配されているのだから、独立などできるはずがない。万が一、反米勢力が台頭しようものなら、最終的には日本に76カ所もある在日米軍基地が、その制圧に動くかも知れない。今は、亀のように首をすくめて、やり過ごすしかないのだ。
しかし、希望がない訳ではない。日本が独立できるチャンスは、意外にも早く到来する可能性がある。それは、米国の力が弱まり、米軍が韓国や日本から撤退するというシナリオである。
フランス人の学者で、エマニュエル・トッドという人がいて、彼は2024年に「西洋の敗北」という本を著している。ここに言う西洋とは、主に米国を指している。トッドが指摘する米国が敗北する理由は、次の3点に集約される。(AIによるまとめ)
- 実体経済の消失・・・米国のGDPは金融やサービス業で膨らんでおり、武器やインフラを作る工業生産能力が劇的に低下している。
- 教育水準の低下と虚無主義・・・読解力や計算力の低下。虚無主義が横行し、予測不能で攻撃的な外交を招いている。
- 世界の少数派への転落・・・LGBTなどリベラルな価値観を推し進める余り、伝統的な価値観を重んずるグローバルサウスの国々と乖離している。
つまり、米国の内部崩壊が始まっているとの指摘である。では、この内部崩壊はどのような段階を踏んで進行するのか。トッドは、次の3ステップを想定している。
ステップ1: 米国の経済が実体を伴わないことが、ウクライナ戦争などで露呈し、ドルの信頼が揺らぎ始める。
ステップ2: 教育水準が低下し、国家としての維持能力が失われる。
ステップ3: 虚無主義が生み出す空白を埋めるために、米国は敵を作り続け、予測不能で破壊的な外交を展開し、他国を米国離れ、脱ドル化へと向かわせる。
驚くべきはトッドがこのような予測を2024年、すなわちトランプが2期目の大統領に選出される前、もちろんイラン戦争(Epic Fury)が始まる前の段階で指摘していたということである。
では、米国の敗北がいつ可視化されるのか、という問題だが、トッドはこの点、「2020年代後半までには米国の覇権崩壊が誰の目にも明らかな形で完了する」と推測している。
つまり、2026年現在の私たちは、既に米国敗北の兆候を目撃していると言っていい。イラン戦争における誤算、ミサイルの不足、ホルムズ海峡の混乱、西側諸国の非協力など、これらは米国覇権の急激な凋落を意味しているに違いない。
私は、戦争における大失態、経済的な破綻と米ドルの暴落、米国内における内乱などを具体的な事象として想定している。
日本は今、米国に依存し、米国の属国として縛られている。しかし、否が応でも米国から自立しなければならない時が、差し迫っているのではないか。その時を待ち、その時に備えるべきだと思う。
「見え始めた米国の孤立化」は、これにて終わります。