文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

No. 166 記号と文化

今回は、一つのテーゼを提出させていただき、その内容について考えてみることに致します。そのテーゼとは、次の一文です。 人は記号を通して意味を発見し、 記号に働きかけて意味を創り出す。 ポイントとなる用語が2つ出て来ます。一つには“記号”であり、二…

ちょっと雑談

前回の原稿に書き洩らしてしまいました。パースは、「人は、記号である」と述べましたが、このテーゼは正しいか。答えはNOだと思います。パース自身が、人間の心の中の現象について、3つのカテゴリーを示していますが、その中で記号が関係するのは第3次性だ…

No. 165 記号学のパースが面白い(その2)

パースは、「日常いつでも誰の心にも現われるもの」を現象と呼び、独自の現象学を提示しました。本文献には「現象学はただ、どんな仕方においてであれあるいはどんな意味においてであれわれわれの心に現われるいっさいのものを直接観察し記述し分析し、そこ…

No. 164 記号学のパースが面白い(その1)

私たちは何者なのか。この問いに応えるために、まず、言葉とは何かを考える人々が登場したのだろうと思います。人間は肉や野菜を食べるし、夜には眠る。しかし、これらの行動は、他の動物も同じです。では、人間の特徴とは何か。誰もが思い浮かべるのは、人…

No. 163 カント以降の思想家たち

箱根の組木細工を見て物質文化の存在を確信した私は、精神文化と物質文化の中間辺りに、もう一つ文化があることを直観したのでした。そして、それは一般に表象文化と呼ばれているものではないか。そこまで来たのですが、では表象とは何か、手っ取り早く分か…

No. 162 箱根の組木細工

このブログの開始当時、私は、文化と科学を対立概念として捉えていました。「文化は科学に敗北したのか」という原稿も書いております。その後私は、言葉、呪術、祭祀、宗教などの精神文化に関する検討を終えました。そして、ぼんやりと「精神文化というのは…

No. 161 記号で読み解く日馬富士関暴行事件

前回の原稿では、文化を4つのステップで考えてみましたが、これは時間の経過をベースにした見方ですね。一方、(記号+〇〇)というのは、ただ、現在生きている文化を類型化したものです。こちらの方が、単純で分かり易いかも知れません。 ところで、将棋の…

No. 160  4つのステップで文化は説明できる?

前回までの原稿で取り上げました「文化進化論」という文献は、私と考え方が異なっておりましたが、それでも大変勉強になりました。また、文化を情報であると定義したのは、ある程度、研究対象を限定しないと科学的な検討ができない、という理由からだったも…

No. 159 文化進化論とは何か(その2)

本文献における一つの山場は、進歩と進化という点にあるようです。 まず、進歩の方から。19世紀のアメリカにルイス・ヘンリー・モーガンという人類学者がいたそうで、この人は「あらゆる人間社会が経てきた、あるいは今後経ることになる、7つの段階を提示し…

No. 158 文化進化論とは何か(その1)

前回の更新から少し間があいてしまいました。その間、私が何をしていたかと言いますと、片手にマーカーを握りしめ、例の文献を読んでいたのです。まだ、半分位しか読み終わっていないのですが・・・。例の文献とは、すなわち「文化進化論」というタイトルの…