文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

猫と語る(第9話) 幻想共同体

黒三郎の言葉は、私の心に重く響いた。確かにこの地球上において、人間は最低の存在なのかも知れない。しかし、それは人間がミッシェルの夫を殺害したからではない。人間だって他の動植物を食べなければ、生きてはいけない。そして人間たちは、多分、ミッシ…

猫と語る(第8話) ミッシェルの悲劇

花ちゃんの呼び掛けに応じて、黒三郎は梢から舞い降りてきた。 - もちろん、オイラにも言いたいことはある。 - 何だ、言ってみろ。ニャー! - お前らは、何故、カラスを嫌うんだ? オイラたちが、黒いからだろう。お前たちは、他の生き物を見た目で判断し…

猫と語る(第7話) 魂とは何か

- 古くは2400年も昔の古代ギリシャ人が、既にこの言葉を使っていた。日本で言えば聖徳太子の時代から、更に千年も昔のことだ。つまり、ニュアンスの違いはあるかも知れないけれど、世界中の人々が魂という共通概念を持っていたんだ。英語ではSoulと言うし、…

猫と語る(第6話) 「私」の発見

秋の訪れを告げるような台風がやってきて、その翌日の空は高く、穏やかだった。私はにゃんこ村へ行き、いつものベンチに座っていた。私が猫たちを個体識別しているように、猫の側も人間を1人ひとり、識別している。猫おじさんである私の姿を見つけると、猫た…

猫と語る(第5話) 利益共同体

翌週も、私はにゃんこ村を訪れた。いつものベンチに座って、ピーナッツを食べている。結局、かりんとうはおいしいので、食べ過ぎてしまうのだ。食べ過ぎれば、それは体重の増加につながる。ピーナッツであれば、かりんとう程食べ過ぎることはないし、食物繊…

猫と語る(第4話) 生活共同体

数日後、私は再びにゃんこ村を訪れ、いつものベンチに腰かけていた。手にはかりんとうの袋を持っている。サクサクとした歯触りを楽しみ、その後にやってくる黒蜜の甘さを堪能しているのである。このかりんとうは、特蜜2度がけ製法によって作られた特別なもの…

猫と語る(第3話) にゃんこ村の不思議

- 花ちゃんは、人間の言葉を話すことができるんだね! せっかくだから、あそこのベンチに座って、少し話さないか? 花ちゃんはうなずくと、ベンチに向かって歩きだした。私が先にベンチに腰を下ろすと、花ちゃんはベンチに飛び乗り、私の右隣りに座った。 …

猫と語る(第2話) 出会い

猫を撫でたときのあの感触が忘れられなくて、私は事あるごとに海辺のコンビニへ通うようになった。西の方角から説明すると、まず、山の斜面がある。斜面の縁に沿って、道路が走っている。道路に面して、コンビニがある。コンビニの裏手、すなわち東側が駐車…

猫と語る(第1話) 夏の終わりに

クルマを走らせて、いつものコンビニへ行ったのだが、そこではある物を買うことができなかった。ある物とは、かりんとうのことだ。何を隠そう、最近、私はこれにはまっている。サクサクとした歯触りがあって、その後、口の中にほんのりと広がる黒糖の甘み。…

そうだ、童話を書こう!

人生は長いようで短い、と人は言う。しかし、それは人の感じ方次第なのだ。例えば私の場合、既に充分生きてきたように感じている。好きなビールもたらふく飲んだ。音楽も聞いた。旅行にも行った。もう行きたいと思う所はほとんどない。幸か不幸か、それでも…

人口爆発と生存競争

- 上代から今に至る長い時間に工夫し得た結果として昔よりも生活が楽になっていなければならないはずであります。(中略)けれども実際は何(ど)うか。打明けて申せばお互いの生活ははなはだ苦しい。(中略)否開花が進めば進むほど競争がますます劇(はげ…

長生きするのも楽じゃない

先日、ネット上でショッキングな記事を見掛けた。それは独身男の死亡年令に関するもので、統計学上の中央値は67才だという。私は現在66才で、半年後にはその年令に達する。その記事は、結局、男の方が女よりも生命力が弱いという結論で結ばれていたが、私と…

科学と経済

昭和の時代に何故、経済が急成長したかと言えば、それは科学が次々に新商品を生み出したからではないか。私は昭和31年生まれだが、今から思えば、子供の頃には未だ普及していない商品が沢山あった。クルマだって少なかった。父親がスバル360を購入した時には…

戦争と文明(その20) あとがき

1956年生まれの私は、リアルタイムで戦争を経験したことがない。それでも物心づいた頃から今日に至るまで、戦争の恐怖を叩きこまれ、戦争が引き起こす強烈な同調圧力の下で生きてきたように思う。戦争が起こるかも知れない。だから、日本人は団結しなければ…

戦争と文明(その19) 人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?

表記の問題は、このシリーズ原稿における最後の設問である。私の考えを以下に記す。 この設問に対する答えは、その人の持つ歴史観に左右されるのではないだろうか。一方で、運命論というのがある。人間がどのようにあがこうと、大きな川の流れを変えることは…

戦争と文明(その18) 人はなぜ戦争をするのか

今年の6月から始めたこのシリーズ原稿も、そろそろ結論を述べるべき段階に来た。そして、このシリーズ原稿における設問は、次の2点に集約される。 設問1: 人はなぜ戦争をするのか? 設問2: 人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか? 本稿で…

戦争と文明(その17) 「知性」とは何か

このシリーズ原稿の中で、私は「知性」という用語を使った。そうであるからには、「知性」とは何か、私にはそれを説明する責任があるように思う。 私が述べようとしている「知性」とは、例えば知能指数とか、そういうことではない。人間の能力とは、誠に多岐…

戦争と文明(その16) 「国家」について

どの本に書いてあったのかは忘れてしまったが、こんな話がある。何年か前にある人が、何ヵ国かを対象としたアンケート調査を行った。設問は、次の通りである。 人類にとって、最も重要な哲学書は何か? 結果として、堂々の第1位に輝いたのは、何とプラトンの…

戦争と文明(その15) 「正義」について

リベラルと言えば、それは自由主義思想を指していると思っていたが、必ずしもそうではないらしい。法哲学の井上達夫氏は、次のように述べている。 - 私は、「リベラルの基本的な価値は自由ではなく正義だ」という趣旨の基調論文を書きました。それが私のリ…

戦争と文明(その14) 「知性」について

今に始まったことではないが、世の中、右を見ても左を見ても、反知性主義で満ち溢れている。戦後、GHQが採用した日本人に対する3Sと呼ばれる愚民化政策が功を奏しているのだろう。そればかりではない。統一教会は、米国のCIAが日本に投下した毒饅頭ではない…

戦争と文明(その13) 日本が抱える戦争リスク

日本はどのような戦争リスクを抱えているのだろう。 ロシアがウクライナに侵略した直後、ロシアは北方領土で3千人規模の軍事演習を行った。そのことから、ロシアが北海道に攻めて来るのではないかという論議があった。しかし、ロシアは既にウクライナ戦争で…

戦争と文明(その12) 権力の歴史

人類の歴史に沿って、権力の変遷を考えてみたい。ここで扱う歴史の区分は、以下の6種類である。 1.原始共産制 2.村落共同体 3.君主制 4.立憲君主制 5.立憲民主制 6.グローバリズム 上記の区分は、発生順に並べたものだが、それぞれの項目は、直…

戦争と文明(その11) 贈与論/マルセル・モース

幻想が権力を生み、危機に瀕した権力者が戦争を始める。前回までの原稿で、私はこのテーゼに辿り着いたのだった。では、権力とは何か。その起源は何だろう。戦争の形態は時代と共に変遷してきたのであって、そうであれば権力の形態にもいくつかのパターンが…

戦争と文明(その10) 幻想と権力、そして戦争

マスケット銃が、歩兵を生み、歩兵が民主主義を生んだ。このような因果関係は、誰にも予測できなかったに違いない。同じような話は、他にも沢山ある。 錬金術が、科学を生んだ。これはユングの説である。錬金術というのは、人工的に金を作り出す非科学的な試…

戦争と文明(その9) 永遠平和のために/カント

過去において、戦争を礼賛する哲学者や文学者がいたことは、前回の原稿で紹介した通りである。そして、哲学者の西谷修氏は、次のように述べている。 - 戦争が避けるべき「災い」あるいは端的に「悪」だと考えられるようになった、その転換を象徴するのは、…

戦争と文明(その8) カイヨワの戦争論

ロジェ・カイヨワは、1913年にフランスで生まれた。1948年には、国連の関連組織であるユネスコに加入する。ユネスコは、教育、科学、文化などの分野における国際協力を通じて、世界平和を目指す機関である。つまり、カイヨワは徹底した平和主義者だった。 カ…

自民党をディスる時事川柳

気をつけて 暗い夜道と 統一教会 近づくな あなたの街の 統一教会 萩生田さん ど壺にはまって さあ大変 おニャン子も 使い倒すぞ 自民党 自民党 賞味期限は とうに切れ 日本では 神も仏も 自民党 嫌になる こんな日本と 自民党

戦争と文明(その7) 統一教会とグローバリズム(その2)

統一教会の問題に戻ろう。 1954年: 世界基督教統一神霊協会(統一教会設立)。 1959年: 統一教会、日本での活動開始。 1962年: 文鮮明は渡米し、CIAのキャロル陸軍中将らと面会する。 1968年: 統一教会の文鮮明が韓国に国際勝共連合を設立。 1988-1991…

戦争と文明(その6) 憲法と米国の対日占領政策

前回の原稿において、「1947年に日本国憲法が施行されたのだが、奇しくも、その年に米国の基本政策が転換された可能性が高い」と書いた。米国は、日本に対する占領政策を何故変更したのか。この問題がどうしても気になって仕方がない。そこで、いつもの本屋…

文明と戦争(その5) 統一教会とグローバリズム(その1)

宗教と国家の間には、永い相克の歴史がある。簡単に述べてみよう。 古代において、シャーマニズムを基軸とするローカルな集団が誕生した。部族と言っても良い。彼らは、自分たちの価値観や信仰をうまく伝えることはできなかったはずだ。彼らは、歌い、踊って…