文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

私の個人主義/夏目漱石

夏目漱石が生まれたのは明治維新の前年、1867年のことだった。すなわち漱石は、明治という時代と共に成長したのであり、文明開化の申し子だったとも言えよう。漱石の名は「坊ちゃん」などの小説によって有名になった訳だが、彼が日本人に愛され続けているの…

野蛮からの脱出

ウクライナ戦争について、1つ確実に言えることがある。それはこの戦争が、人類の戦争史上、最も撮影された戦争であるということだ。言うまでもなく、それはスマホとドローン技術によってもたらされた。そして、それらの技術がブチャで繰り広げられた惨劇を…

秩序化としての戦争

人間の歴史のある側面を捉えると、それは秩序化の歴史だったと言える。簡単に述べよう。まず、人数の少ない部族で集まり、それが次第に人数を増やし、民族という概念に至る。民族で集まろう。同じ民族同士で仲良くしよう。それが、民族主義である。しかし、…

独裁者は民主主義を恐れる

ひとたび戦争が始まると、その地域や国に住んでいる人々が永年に渡って育んできた文化やその成果物は、破壊される。それは歴史的な建築物や優れた芸術作品に限ったことではない。例えば、あるお婆さんがいて、彼女はとてもおいしいシチューを作ることができ…

中立ということ

2月24日にロシアがウクライナへ侵略して以来、私は、憂鬱な毎日を過ごしてきた。21世紀の今日において、このような侵略戦争が勃発したことに驚くと共に、一体、何をどう考えれば良いのか、思いあぐねていたからである。両国を中心に人的な被害は拡大する一方…

救済としての芸術(その8) エピローグ

森友学園事件。時の総理大臣を守るために、財務省は公文書を改ざんすることにした。改ざん作業を命じられた赤木俊夫さんは、良心の呵責に苛まれ、精神のバランスを崩し、自殺した。夫の死の真相を知りたいと願った妻、赤木雅子さんは国を相手取って、1億700…

救済としての芸術(その7) 個人の時代

「真善美」というのは、ソクラテスが言った言葉らしい。この言葉を少し、私なりに解釈してみたい。 「真」とか真理というのは、「全ての人々が幸福になる方法」のことだ、と私は考えている。そうしてみると、これは人間社会の秩序に関わることだと言える。次…

救済としての芸術(その6) 芸術の力

人は、その人生を文化領域の中から始める。家族がいて、生活がある。そこに留まる人生もある。専業主婦や、1次産業従事者、職人の方々は、文化領域の中で暮らしている。例えば、私の知っているある寿司屋の大将は、小さな漁師町で生まれた。高校を卒業すると…

救済としての芸術(その5) 消え去る「知」

秩序の構造について、もう一度、整理してみよう。 まず、文字が生まれた。文字が「知」を作り出す。「知」とは、文明に影響を及ぼす何らかの思想や理念、若しくは知恵のことだ。「知」は、それを知っている者と知らない者との間に差異を作り出す。知っている…

救済としての芸術(その4) エクリチュールを巡る闘争

最も古い文学は、無文字社会において口頭で伝承された民話や童話だろう。そこには動物たちに対する愛情や、素朴な人々の暮らしが描かれている。そこに権力の匂いは存在しない。何故かと思う訳だが、無文字社会においては、権力そのものが存在していなかった…

救済としての芸術(その3) 哲学はいつから科学になったのか

哲学と科学との間には、その起源から緊張関係が存在していた。最初の哲学者と言っても良いであろうソクラテスは、当時の自然学と決別し、独自の思想を構築したのである。しかし、多くの哲学者は、目覚ましい発展を遂げる数学や自然科学を横眼に見ながら、ど…

救済としての芸術(その2) 文化、秩序、そして主体

現代文明を根底から支えているのは、文化である。それはとても永い歴史を持っていて、私たちの暮らしと密接な関係を持っている。文化は、融和的であり、女性的で、そこにおけるコミュニケーションは、パロール(音声言語)に依拠している。 文化は、主に小集…

救済としての芸術(その1) はじめに

今日の日本の状況について、皆様はどうお感じになっているだろうか。上級国民と呼ばれる一部の政治家は、法を犯しても罰せられない。新自由主義とか緊縮財政と呼ばれる勢力が政治や経済を牛耳っており、日本の国民は酷く貧しくなった。それでも半分近くの国…

お知らせ

本ブログは「反権力としての文明論」を掲載中でしたが、これを断念することに致しました。以下にその理由を説明させていただきます。 まず、文化と文明の関係について。このブログはそのタイトルにあるように、「文化」という枠組みで検討してきた訳です。し…

れいわ新選組 支持者の皆様へ!

れいわ新選組を支持されている皆様へ! 大勝利、おめでとうございます! 私も嬉しくて、たまりません。 当選者 山本太郎(東京ブロック) 多カ谷亮(南関東ブロック) 大石あきこ(近畿ブロック) 事前情報では、山本太郎ですら危ないと言われており、心配し…

反権力としての文明論(その4) 権力についての試論 - 方針変更

権力とは何か。それを考えている訳だが、少し苦しくなってきた。例えば、私たちの身近には、常に水がある。私たちは、毎日それを飲んでいるが、水について考えることには困難が伴う。科学的なアプローチがあって、それに従えばH2Oということになる。しかし、…

反権力としての文明論(その3) 権力についての試論 - 宗教型

突然ながら、このシリーズ原稿において、私が提示すべき概念モデルのイメージが、固まりつつある。 主 体 → 文 化 → 権 力 → 真 理 (身体) ←―――――(知)―――――→ 例えば、ソクラテスのような偉人の人生を考えてみよう。幼少期においては、ソクラテスだって、遊…

反権力としての文明論(その2) 権力についての試論-暴力型

私たちの暮らしのそこかしこに、権力は存在する。時にそれは、とてつもなく不愉快なものであるが、人々はそれに気づくことなく、権力を行使したり、またはその被害者となったりしているに違いない。権力には、例えば国家権力のように大きなものから、男女間…

反権力としての文明論(その1) はじめに

国内において、犯罪が多発しては困る。だから、犯罪者を取り締まる警察権力が必要だ。国の外に目を向ければ、沢山の外国があって、どこかの国が攻めてくるかも知れない。だから、国民は一致団結して、強い権力を持った国家を設立する必要があるのだ。そう主…

フーコー三角形

ミシェル・フーコーの思想を形作る重要な要素は、3つある。それは権力、知、主体であって、これらの3要素を線で結んだものをフーコー三角形と言う。 一体、何の話? そう思った方のために、極めて分かりやすく私の考え方を説明しようというのが、本稿の趣旨…

右翼と左翼の源流

そもそも、政治の世界には何故、右翼と左翼が存在するのだろう。どうもその理由は、歴史の中に答えがある。結論から言ってしまおう。右翼の源流は宗教にあり、左翼のそれは科学にある。 右翼・・・宗教 左翼・・・科学 どうりで、この2つの折り合いは悪い訳…

新しい思想

いきなり私事にて恐縮だが、私は、日本の政治を諦めることにした。アベ友の山口敬之による準強姦事件をもみけした中村格が、警察庁の長官に昇進したらしい。この国に正義はないのである。私は長い間、巨悪が究明され、司法の手によって罰せられることを望ん…

ソクラテスの魂(その9) あとがき

約3か月に渡って掲載してきた本シリーズを終わるに際して、雑駁にはなるが、これまで書き洩らしてきたこと述べたいと思う。 まず、歴史的な背景について。古代ギリシャにおいてもシャーマニズムが息づいていたことに、私は少なからず驚きを覚えた。洋の東西…

ソクラテスの魂(その8) 思想を持つということ

ソクラテスが登場する以前から、自然哲学と呼ばれる思想の試みがなされていたのであって、これはその後の自然科学へとつながったに違いない。ソクラテスもそれを学ぶが、やがて、決別する。つまり、哲学と自然科学の緊張関係は、その起源から始まっていたこ…

ソクラテスの魂(その7) 魂と知

まず、前回の原稿における私のミステイクについて、訂正すると共にお詫び申し上げなくてはならない。前回の原稿で私は、「ソクラテスの弁明」について、1回目の採決の後で、2回目の採決の直前に弁明がなされたのではないかと述べたが、これはとんでもない誤…

ソクラテスの魂(その6) 死に至る経緯

そもそも哲学の起源は、どうなっているのだろう。そう思って入門書を調べてみると、最初の哲学者は古代ギリシャのタレス(前624頃~546頃)だと記されている。タレスは「万物の大元(アルケー)は水である」と主張したという。その後、空気だとか火などがア…

ソクラテスの魂(その5) 希望としてのエクリチュール

それにしても、酷い世の中になった。コロナウイルスが蔓延しているからではない。疫病の流行は、何も、コロナが初めてのことではない。そうではなくて、政府の対策がことごとく失敗していることの方が、私にしてみれば、余程危機的だと思えるのだ。そもそも…

ソクラテスの魂(その4) 個別的な真理

身体は死滅しても、魂は死なない。だから、身体よりも魂の方が重要なのだ。ソクラテスはそう考えたので、自らの魂に忠実であろうとした。そして、死刑の評決に従って、毒の盛られた盃を飲み干して死んだのである。このようにショッキングな死に方をしなけれ…

ソクラテスの魂(その3)

結局人間は、互いに理解し合うことはできないのではないか。昔から「十人十色」などと言うが、それは1億2千万人(日本の人口)いれば1億2千万色になる訳で、同じ価値観を持つ人間は、2人といないに違いない。 例えば、水について研究してみれば、それは必ず…

ソクラテスの魂(その2)

名前だけなら、中学生でも知っているであろうソクラテス。私も、軽い気持ちでこの原稿に着手した訳だが、それは誤りだった。もちろん、ソクラテスの思想を現代人である私たちがそのままの形で受け入れることは困難だ。しかしその思想には、混迷を極める現代…