文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

No. 160  4つのステップで文化は説明できる?

前回までの原稿で取り上げました「文化進化論」という文献は、私と考え方が異なっておりましたが、それでも大変勉強になりました。また、文化を情報であると定義したのは、ある程度、研究対象を限定しないと科学的な検討ができない、という理由からだったものと推測します。

 

また、前回の原稿で、私の家にあるものは全て、何らかの機能を持っていると書きました。これはこれで事実なのですが、世の中には明確な機能を持っていない文化の産物というものもあります。1つには、てるてる坊主や折り鶴など、呪術的な行為の産物。2つ目としては、絵画や彫刻などの芸術作品。

 

さて、いろいろヤヤコシイ言葉が出て来て恐縮ですが、シンプルに考えますと文化というのは、たった4つのステップで説明することが可能なのではないか、ということに思い当たりました。すなわち・・・

 

Step 1: 私たちが生きている世界はどうなっているのか

Step 2: 私たちは何者なのか

Step 3: 私たちが世界とのつながりを求める試み

Step 4: つながりを求めた結果としての物質文化

 

では、簡単にご説明致します。

 

Step 1: 私たちが生きている世界はどうなっているのか

昔から今日に至るまで、この問題は人々の関心事であったはずです。古代人は、まず、言葉を発明して身の回りの自然に名前を付けた。すなわち、自然を記号化した。更に、その言葉を使って物語(神話)を作った。すなわち仮説を立てて、様々な自然現象を説明しようとした。その集大成のようなものが、旧約聖書だと思います。天地創造の物語ですね。これは、大区分としては、精神文化に該当します。また、現代人である我々からしてみれば、ちょっと荒唐無稽な印象を受ける訳ですが、これらの神話を作った人々の精神構造を考えますと、論理的な思考が働いていたのではないかと思うのです。今日におきまして、人間の関心事は拡大し、宇宙の探査に乗り出している。これも、長い目で見れば、同じような試みではないでしょうか。このStep 1を単純に表しますと、(記号+論理)ということになります。

 

Step 2: 私たちは何者なのか

これも人類にとっては、普遍的な課題だと思います。そこで、古代人は自分達をグループに分けた。1つには、トーテミズムがある。例えば、イワム族のオオトカゲグループのようなものができる。職業別の区分などもあります。例えば、「俺はオオトカゲグループの兵士だ」ということになれば、一応、彼のアイデンティティーが確立されます。大区分としては、これも精神文化ということになります。このStep 2を単純に表しますと(記号+アイデンティティー)ということになります。

 

Step 3: 私たちが世界とのつながりを求める試み

人間が、自分の内心をなんとか現実世界において、形にしたいと望むのは、自然なことです。そこで、最初に登場したのが呪術だと思うのです。「あの人だけは許せない!」などと思って、藁人形を作る。「明日は晴れてもらいたい」と思って、てるてる坊主を作る。折り鶴も同じですね。人の内心が形になって現れたもの。これが呪術の産物だと思います。呪術はやがて洗練されていき、芸術が産まれたのではないでしょうか。ゴッホの絵画には、ゴッホの願いが込められている。大区分で言いますと、これは表象文化だと思うのです。呪術、芸術に関する表象文化を簡単に記しますと(記号+意味)ということになります。人々の強い願望、それが意味だということです。

 

しかし、表象文化には、他の種類もある。いわゆるエンタメと呼ばれるジャンルです。エンタメの本質は、自分の知らない世界であったり、架空の世界を作り出すことではないでしょうか。1つには、スポーツなど、(記号+ルール)というパターンがあります。2つ目としては、例えばディズニーランドのような(記号+イメージ)というパターンも想定されます。

 

Step 4: つながりを求めた結果としての物質文化

これはもう、あまり説明の必要はないかも知れません。大区分としては、物質文化で、簡単に記しますと(記号+機能)ということになります。

 

とても1回の原稿では説明し切れませんが、現在私が考えております文化の構造というのは、上記の通りです。大区分としては、精神文化、表象文化、物質文化の3種類があって、それを少し細かくすると上記の通り4つのステップで説明できる。これを略号で一覧にすると次の通りとなります。

 

(記号+論理)

(記号+アイデンティティー)

(記号+意味)

(記号+ルール)

(記号+イメージ)

(記号+機能)

 

全部で6つですね。なんとか、形が見えて来ました。もう少し、記号論表象文化論を検討する必要がありそうですが。