文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

構造と自由

構造と自由(その12) まとめ

前回の原稿をアップしてから、3週間以上が経過してしまった。その間、私の思考が停止していた訳ではないのだが、とにかく、何もする気が起こらなかったのである。もしかすると、老人性のうつ病ではないのか。そう思って、先日、散髪に出かけた際、試しに言っ…

構造と自由(その11) 権力とは何か

権力とは、他者の意思に反して、当該他者を拘束し、支配しようとする力のことである。権力は、個人的なレベル、中間集団のレベル、国家のレベルにおいて、それぞれ存在する。権力の主要な構成要素は、暴力(軍事力)、経済力、思想(統制力)の3つである。 …

構造と自由(その9) 日本の権力構造

上の図に従って考えれば、権力の構造を説明することができる。まず、「知」があって、「知」が権力を生み出す。権力を生み出す主な「知」は、科学、宗教、その他の思想などを挙げることができる。そうやって生み出された国家レベルの権力は、軍事力、経済力…

構造と自由(その8) 構造の内側

上の図を見ていると、様々な発見がある。例えば、「依存者」について。依存者を規定している両極は権力と身体だ。暴走族や暴力団員は、この領域で生きているに違いない。彼らは権力そのものを否定したりはしない。あくまでも自らの身体を権力に服従させるの…

構造と自由(その7) 哲学の領域

上の図において指し示したように、哲学を形作る1つの極は「知」であり、もう一方の極は主体なのだと思う。奇しくもこの2つの極について、哲学の始祖であるソクラテスは意見を表明している。「知」について、ソクラテスは「不知の自覚」を持てと述べた。こ…

構造と自由(その6) 芸術と美

前回の原稿で、私は、芸術を再定義することが必要だと述べた。では、どのように再定義すべきなのか。今回は、そのことについて述べてみたい。 西洋と東洋とでは、異なる歴史的な背景を持っている。それは芸術についても言えるだろう。まず、簡単に西洋に対す…

構造と自由(その5) 芸術の使命

無文字社会においては、いや現代日本社会においても、その底流には原始宗教が息づいている。そして、原始宗教を構成する3大要素は、呪術、祭祀、神話である。やがて文字が普及し、これら3つの要素も発展を遂げ、今日的な意味での宗教が生まれたに違いない。…

構造と自由(その4) 権力と身体

権力とは何か。そう考えると難しい。しかし、権力が何らかの「知」を背景に持っていると考えれば、「知」の類型に従って、権力の類型を推し測ることが可能となる。そして、「知」には身体と親和的な関係を持つもの、反対に身体と対立するものがある。また、…

構造と自由(その3) 「知」から権力へ

人口密度が高まると、食料不足が発生する。人間同士の距離も近づくので、否が応でも、もめごと、争いごとが発生する。そのような紛争を解決する手段の1つとして、武力が誕生したのだと思う。そして、その武力をいかに効率的に使用するか、いかに勝負に勝つか…

構造と自由(その2) 身体から「知」へ

このブログでは、かねてより次の図を掲載してきた。 権力 | 身体 ――――|―――― 「知」 | 主体 しかしながら、この図だけでは語り尽くせない事柄がある。変更を加え、書き直す日々が続いたが、ようやく次の改定版に辿り着いた。 「構造と自由」と題した本稿の…

構造と自由(その1) はじめに

近ごろ、ミステリーとかサスペンスと呼ばれるテレビドラマを見ながら、晩酌をするのが習慣になった。最近この手の番組は、あまり流行っていないらしいが、BSで再放送をやっているので、それらを録画して見ている。「温泉若女将の殺人推理」とか「駅弁刑事(…