文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

残暑お見舞い申し上げます。

被災地の皆様には、衷心よりお見舞い申し上げます。また、終わらぬ暑さに辟易されている皆様には、残暑お見舞い申し上げます。

 

さて、このブログですが休止してから40日が経過致しました。未だ整理のつかない課題が多く、ブログを再開できる段階にはありませんが、私の問題意識なり、検討の途中経過などを報告させていただきます。

 

まず、日韓関係について。この問題には、複雑な背景があるようです。南北朝鮮の問題、アメリカの意向なども影響しているように思えます。私の読みは、次のようなものです。まず、韓国がGSOMIAを破棄したことに対して、アメリカが怒っている。そこで、アメリカが日本政府に嫌韓ムードを醸成するように指示した。この指示に従って、日本政府とメディアが嫌韓ムードを煽っている。それに乗せられてしまう日本国民というのも、いかがなものかと思う訳です。他国を尊重できない人は、自分の国をも尊重することができない、と私は思っています。そんな事を考えていると、次の動画に出会いました。2分程度の短い動画ですので、是非、ご覧ください。

 

韓国人女性のフリーハグ
https://www.youtube.com/watch?v=Ob6QediH92w

 

私の感情は揺さぶられ、泣けて来ました。あまりに、素晴らしい。そして、少し時間を置いてから、この動画について考えてみたのです。この動画は、政治と芸術の関係性を端的に証明しているのではないか。大昔から、人間は様々な困難に直面してきた。そして、それらの困難に向き合った時、誰かが前衛芸術を生み出して来たのではないか。そうやって、人間は困難を克服してきたに違いない。前衛芸術とは、未だ完成した様式を持たない。だから、それは時として、人々に違和感をもたらす。しかし、前衛芸術は人々に新たな選択肢を示し、価値観を提示するのだろうと思います。そして、固定概念に固執しない、フレキシブルな心を持った人だけが、前衛芸術を理解することができる。

 

1. ジョンとヨーコのベッドイン
2. “れいわ新選組”安冨さんの馬選挙
3. 韓国人女性のフリーハグ

 

これらの事例は、いずれも前衛芸術だと思います。

 

このように政治と芸術とは、密接な関係性を持っている。政治と経済は、不可分の関係にある。芸術と経済とも関係している。例えば、中世や近代のアートは、現代の工業デザインに影響を及ぼしている訳です。実は、全てがつながっているのではないか。それを現代人は、政治学、経済学、芸術論などと分類して考えるから、本当に大切なことが見えて来ない。

 

話は変わります。

 

このブログでは、無文字社会の例として、パプアニューギニアのイワム族、アフリカのマサイ族、北米のプエブロ・インディアン、ナバホ・インディアンなどについて言及して来ました。それは、彼らの持つ文化やメンタリティに私自身が強く惹かれて来たからです。しかし、残念ながら、彼らに関する情報は少ない。

 

ところが、もっと身近で、豊富な情報量を持つ無文字社会の文化があった。アイヌ文化です。

 

かつて、アイヌ民族の女性で、知里幸恵さんという方がおられた。彼女は、子供の頃から夜な夜な、おばあさんからアイヌの民話を聞かされて育った。そして、類まれなる才能と努力の結果、日本語もマスターしたのでした。ある日、彼女の噂を聞き付けた言語学者金田一京介氏が、北海道にいた彼女の元を尋ねる。東京に帰った金田一氏は、彼女にノート数冊を送り、アイヌの民話に関し、左側にはアイヌ語をローマ字で記し、右側に日本語訳を記すという作業を依頼する。やがて、金田一氏は、彼女を東京の自宅に呼び寄せる。金田一氏の自宅で下宿生活を始めた幸恵さんは、金田一氏の期待を上回る出来で、作業を完成させたのです。その成果は、「アイヌ神謡集」として結実する。「アイヌ神謡集」の最終校正を終えた幸恵さんは、持病の心臓発作に見舞われ、金田一氏の自宅で死去されたそうです。享年19才。

 

例えば、YouTubeでもアイヌの民話に接することができます。

 

アイヌ絵本 「和人になった兄」
https://www.youtube.com/watch?v=on5UuLy1dMI

 

現在も多くの方々が、アイヌ文化の保存に努めておられます。それは、もちろん大切なことです。しかし、それと同時に、現代に生きる日本人としては、アイヌの文化から何を学ぶべきなのか、それを解明することも重要ではないか。

 

自称“文化論者”である私としては、そんなことを思いあぐねている訳です。