ちょっと、ここまでの話を整理してみましょう。
グローバリズムというのは、次の権力構造にある。
国際金融資本 - アメリカ政府 - 自民党(清和会)・官僚組織
アメリカ政府が何故、日本政府に対して強く出られるかと言うと、次の項目を挙げることができます。
・日米安全保障条約
・日米地位協定(駐日米軍基地の容認)
・日米合同委員会
・年次改革要望書
このように考えますと、国際金融資本とアメリカ政府が一緒になって日本を攻めている訳ですが、その背景に「軍事力」があることになります。
加えて、企業の資本関係を背景として、国際金融資本が日本の経団連に影響力を及ぼし、経団連はその広告・宣伝費を使って、日本のマスメディアを支配している。
国際金融資本 - 経団連 - 日本のマスメディア
この系統によって、日本国民が知り得る「情報」が制御されている。すなわち日本は、軍事力と、資本と、情報の3つによって支配され、この勢力に従っているのが、自民党を始めとする政党であり、官僚組織であり、マスメディアだということになります。このような支配勢力に従属しようという考え方が、グローバリズムだということです。
そして日米FTAは、グローバリズムによる日本支配の最終段階ではないでしょうか。
このブログでは、日米FTAを切り口として何回か原稿をアップしてきましが、その基本は、次の3つの対立軸を設定して、日本の政治勢力を分類するということです。
1. グローバリズム vs 主権国家主義
2. 緊縮財政 vs 積極財政
3. 右派 vs 左派
ここまでの検討結果を一覧にしてみましょう。
・グローバリズム - 緊縮財政 - 右派
→ 自民、公明、維新 / 経団連
・グローバリズム - 緊縮財政 - 左派
→ 立憲、国民 / 連合
(グローバリズムで積極財政という勢力は、存在しないと思います。)
・主権国家主義 - 緊縮財政 - 右派
→ 石破茂氏(自民党 石破派)
・主権国家主義 - 緊縮財政 - 左派
→ 共産、社民
今回は、残る「主権国家主義 - 積極財政」の勢力について、検討してみましょう。
・主権国家主義 - 積極財政 - 右派
この勢力が結集していると思われる政治運動として「令和ピボット運動」があります。
令和の政策ピボット
https://reiwapivot.jp/
発起人である三橋貴明氏は、かつてテレビ番組において悪名高い竹中平蔵と対決し、論破しています。その意味では筋金入りだと言えますが、最近は、悪いのは財務省であって安倍総理ではない、という論調もあり、この点、私としては賛成しかねます。
次に、藤井聡氏がおり、同氏は雑誌「表現者クライテリオン」の編集長もされています。この雑誌は、最近、「安倍総理“器”論」という特集を組み、安倍総理が空っぽであるという主張を展開しています。また藤井氏は、最近、“れいわ新選組”の山本太郎さんを擁護する発言をしています。
ジャーナリストの堤未果氏は、先にこのブログで紹介しました関西方面のTV番組で日米FTAの解説をされていた方です。
余談になりますが、「令和ピボット運動」の賛同人の中には、YouTubeにおける右翼番組として有名な「チャンネル桜」の水島氏もおられます。同氏は筋金入りの右翼だと思われ、かつて山本太郎さんが天皇陛下に手紙を渡すという事件があった時、街頭に出て、太郎さんを糾弾する抗議活動をしていました。そんな経緯もあって、水島氏は太郎さんを敵視しているのです。しかし、チャンネル桜で「安倍総理“器”論」を取り上げた際には、出席者の過半数から山本太郎さんを擁護する発言があり、むしろ水島氏が浮いているような印象がありました。
自民党の安藤裕国会議員も、このグループだと思います。安藤氏は自民党の内部から「積極財政」への転換を模索していく意向だそうです。しかし、現在の自民党は安倍一強と言われており、私は無理だと思います。
この「積極財政-右派」のグループには、強力なメンバーが揃っているように思います。しかし、このグループの主張を体現する国政政党は、存在しません。また、担ぎ上げるべきリーダーがいない。これが最大の弱点だと言えます。
では、最後のグループについて述べましょう
・主権国家主義 - 積極財政 - 左派
経済学者の松尾匡氏が中心となって展開している「薔薇マークキャンペーン」という運動があります。
薔薇マークキャンペーン
https://rosemark.jp/
これは特定の政党は支持せず、積極財政政策に賛同する政治家、候補者に薔薇マークを認定するという活動です。認定を受けた政治家を見ますと、結構、共産党系が多い。但し、共産党系の議員は、積極財政の論理的な基盤をなすMMTに賛同しているという訳ではなく、法人税、所得税を増税すれば、財源は確保できるだろうと考えているようです。
山本太郎さんと彼の率いる“れいわ新選組”も、このポジションにいます。国会議員の馬淵澄夫氏(無所属)も同じです。馬淵氏は、交通事故に合われましたが、最近、退院されたようです。
最近、積極財政派に転向している小沢一郎氏も、このポジションになります。同氏が仕掛けている「年内の立憲と国民の合併」は、進展が見られません。どうやら、これは無理なのではないかと思われます。連合が反対しているという情報もあったように記憶しています。両党の年内合併が実現しなかった場合、小沢氏の発言力が低下するのは避けられません。この場合、小沢氏はどうするのか。引退するのか、あるいは何かウルトラCを考えているのでしょうか?