文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

文化認識論(その33) コロナと暮らす日常

世間では、非常事態宣言が話題となっておりますが、それは小池都知事が会見でロックダウンだとか、都市封鎖と発言したことに端を発しているのだと思います。しかし、日本の法律では、都市の公共交通である電車やバスの運行を止めたり、道路を封鎖したりすることはできない。日本では、このような本格的なロックダウンが実施されることはないのです。これはむしろ、その方が良いと私は思っています。医薬品や食料の供給が止まれば、死ぬ人が増えると思うからです。

 

ところで私は、非常事態宣言ではなく、反対に、「日常事態宣言」を自らに宣告することとしました。その当否は、各人にてお願い致しますが。

 

都市部においては、いずれ医療崩壊が起こる。専門家は、オーバーシュートよりも先に医療崩壊が起こると、昨日、会見でそう言っていました。医療崩壊の次には、日本でもオーバーシュートが起こると思います。それは、既に起こっているのかも知れません。日本では検査を抑制してきたため、実際の感染者数は分からないのです。そんなことを言ったって、日本ではまだ死者が増えていないではないか、と言う人がおられるかも知れませんが、肺炎とかインフルという名目で、多くの死者が火葬に付されているという情報を、ツイッター上で見かけます。

 

海外からの情報や昨今の東京都の情報によれば、若い人の感染率や、重症化率も決して低くはなさそうです。

 

アメリカでの死者は4千人を超え、日本での感染者は2千人を超えました。これはもう、誰にも止められない。

 

今から言っても遅いのですが、本当は、検査を徹底すべきだったのではないか。検査をして、陽性で軽傷の人は、ホテルとか公共の宿泊施設に滞在してもらう。そして、重傷者だけを病院に送る。そういう方法を取るべきだったようです。

 

文春オンラインに興味深い記事が出ていました。

 

文春オンライン 渋谷教授
https://bunshun.jp/articles/-/36980

 

ポイントは、ワクチンの開発には18か月かかるということ。すなわち、今後1年半程度は、コロナウイルスに感染した場合の治療法が発見されないということです。この先は私の推測ですが、アメリカ以外のどこかの国でワクチンを開発したとしても、アメリカの企業が知的財産権の侵害だと言って訴えるのではないか。そして、アメリカの製薬会社が、ワクチンを開発し、それを高額で販売する。そういうシナリオが見えるような気がします。ワクチンが開発されたとしても、それを優先的に利用できるのは、第一に金持ちであって、第二にアメリカ人ということになるのではないか。日本の庶民の優先順位は、ずっと後ではないかと思います。

 

2つ目のポイントは、結局、コロナに打ち勝つためには国民の70%が感染し、集団免疫を獲得する必要がある、という点です。渋谷教授は、そのためには数年かかると言われています。念のために申し上げますと、数年というのは2~3年ではなく、5~6年という意味だと思います。

 

従って、今後日本でも、多くの国民が亡くなると思います。コロナによって、そして経済的な理由によって。そして、そのような危機は、今後、数年に渡り継続する。もちろん危機だと思いますが、この危機はそう簡単には終わらない。それは、私たちが新たに直面する日常的な風景なのだ、と思う訳です。

 

今後、世界はどうなるのか。悲観的な意見は、少なくありません。国際金融資本が、一層、勢力を拡大する、という見方もあるようです。確かに、昨日から4月に入った訳で、すなわち日米FTAの第二段階に関わる交渉が始まるのかも知れません。別のシナリオとしては、この危機に乗じて憲法改正がなされ、緊急事態条項が憲法に盛り込まれる。安倍政権が緊急事態を宣言し、国の三権分立が停止し、独裁政権が生まれる。そして、戦争に突入するという見方もある。もちろん、そんなことは断固として、阻止しなければなりませんし、そういう問題意識を持ち続けることは大切だと思います。

 

しかし、これから私たちは大きな犠牲を払う訳ですから、私たちはそこから、何かをつかみ取るべきではないでしょうか? そうでなければ、死んでいく人たち(それは私かも知れませんし、あなたかも知れない)に申し訳がたちません。

 

コロナウイルスは、人間が移動すること、集まること、を否定しています。これは現代文明に対するアンチテーゼな訳で、グローバリズムにとっても痛手となるのではないか。せめて私たちは、コロナ危機を契機として、グローバリズムに打ち勝つ、強くて民主的な、国民が生き延びることができるように最善を尽くす、そういう国民主権の国家を打ち立てるべきではないでしょうか。そのことを目指して努力する。こういう時期だからこそ、それが大切だと思うのです。