文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

2017-01-01から1年間の記事一覧

No. 107 遊びとは何か(その7)/戦い始めた中世の遊び

厳密には、大型動物を追いかけて日々移動していた時代と、農耕を始めて定住し始めた時代の間に、中間的な生活形態があったようです。生活の糧は相変わらず狩猟、採集にありましたが、簡単な住居を構えてキャンプのような生活をし、必要に応じて移動する、と…

No. 106 遊びとは何か(その6)/遊びの起源は古代にあり

いくつか視点を変えながら、“遊び”について考えてきましたが、やっとその輪郭が見えてきたように感じています。 結局、遊びの起源というのは、古代にある。我々ホモサピエンスの歴史を概観しますと、20万年前にアフリカで始まり、農耕と牧畜が開始されたのが…

No. 105 遊びとは何か(その5)/ 狩猟採集民の遊び

No. 102の記事で、遊びの種類について述べましたが、どうも種類が多く、まだ、本質が見えて来ないように感じます。ビー玉を例に取って考えますと、その構成要素は3つある。第一にビー玉という遊具、第二に地面の穴なり枠組みなどの場所。第三に、ルールとい…

No. 104 遊びとは何か(その4)/ それでもジャズは死なない

前回の原稿で、マイルス・デイビスが死去してから、ジャズは急速に衰退していったということを述べましたが、では、ジャズがその後どうなったのか、考えてみたいと思います。 統計上のデータがある訳ではありませんが、例えばCDの売上枚数、ジャズをやってい…

No. 103 遊びとは何か(その3)/打ち捨てられたもの

今朝、少し遅い時間に目覚め、そして、突然ひらめいたのです。遊びとは、打ち捨てられたものから始まるのではないか。 例えば、こんな話があります。アメリカの黒人は、かつてブルースという音楽を発明しました。それが発展して、やがてロック・ミュージック…

No. 102 遊びとは何か(その2)/遊びの種類

どうもビー玉のことが気になって仕方がありません。ネットで調べてみると、そもそもガラス玉というのはエジプトや中東の遺跡からも発掘されている。また、ポルトガル語でガラスのことをビードロと言うようで、これが変化してビー玉という呼び名が発生したと…

No. 101 遊びとは何か(その1)/ビー玉

このブログは文化が生まれるプロセスを考える所から出発しました。No. 1からNo. 24におきましては、言葉から始まり、物語、呪術、シャーマニズムなどを積み上げ、やがて宗教に至るという歴史主義的な検討を行いました。そして、そのプロセスにおいて、文学、…

No. 100 深沢七郎の短編小説「白笑」を読む

ブログの更新、少し間が空いてしまいましたが、今回は、その言い訳から始めさせていただきます。 以前取り上げました村上春樹の小説には、経済的に裕福で、高学歴の美男美女が多く登場しましたが、正直に言いますと、私は辟易してしまったのです。あのゴッホ…

No. 99 このブログ、平時のモードに戻します。

すっかり朝鮮半島情勢に振り回されてしまいましたが、問題は長期化すると思われますので、このブログは平時のモードに戻すことにします。 また、いくつかの検討課題が中途半端な状態になっていたように思いますので、今回は、それらの問題に決着をつけたいと…

No. 98 朝鮮半島情勢、切り間違えたカード

昨日は朝鮮人民軍創建85周年だった訳ですが、大きな事件は起こりませんでした。それはそれで幸いなことではありますが、朝鮮半島の非核化を“達成すべき目標”として設定するならば、全く進展がなかったとも言えます。 いろいろ情報を総合して考えますと、これ…

No. 97 グローバリズムの終焉

明日(25日)は、北朝鮮軍創設記念日に当たるということで、北朝鮮が核実験またはミサイルの発射実験を行う可能性がある、と言われております。どのようなシナリオが予想されるのか、ネットを中心に専門家のコメントを調べてみましたが、論理的に納得できる…

No. 96 朝鮮半島情勢、プンゲリのバレーボール

表題の件ですが、「北核実験場近くの住民が避難・・・25日前後に実施の可能性」という記事が中央日報から配信され、Yahooに掲載されました。配信は4月22日12:08となっています。“核実験場”とはプンゲリという場所で、少し前に関係者がバレーボールをしていた…

No. 95 朝鮮半島情勢、シナリオはあったのか

朝鮮半島情勢についてですが、数日前、浅田真央さんの引退ばかり報道していた日本のマスコミが、堰を切ったように本件を取り扱っています。本件に関しまして、報道規制のようなものがなかったことが明らかにとなり、嬉しく思っております。もちろん、軍事作…

No. 94 朝鮮半島情勢、4つのチェックポイント

ブログのタイトルと掲載記事の内容が解離していますが、今は平時ではないように感じており、差し迫った問題を優先して取り上げたいと思いますので、この点はご容赦ください。 さて、朝鮮半島情勢ですが、ご案内の通り16日の早朝に北朝鮮はミサイルを発射し…

No. 93 朝鮮半島情勢とリスクマネジメント

落ち着かない週末を過ごされている方も、少なくないのではないかと思います。 さて、表題の件ですが、深刻な問題ですので、今回は失敗しないよう慎重に記載したいと思います。なお、私は多くの皆様と同様、何らかの内部情報などを持っている訳ではなく、情報…

No. 92 ポストモダンよ、さようなら!

昨日、アメリカの原子力空母、カールビンソンとその一団が朝鮮半島に向けて出発したというニュースがありました。その後、北朝鮮がこれに強く反発しているという情報もあります。小心者の私は、このニュースが気になって仕方がありません。アメリカがシリア…

No. 91 ポストモダン/ 遠い現実、近づくエンターテインメント

“希望”というのは、いい言葉ですよね。私の記憶では、ジョン・レノンも希望を失うな、と言っていました。これは近代思想の時代のメンタリティと深い関係があるように思うのです。例えば、ジョンは、世界を平和にするという“希望”を持っていた。その“希望”を…

No. 90 ポストモダンと無文字社会のメンタリティ

ポストモダンという時代においてマジョリティを占める心の機能は“感覚”で、それは無文字社会においても同じだった。だから、両者には親和性があると思うのですが、この点をもう少し考えてみます。 神話、民話、童話などを総称して、このブログでは“物語”と呼…

No. 89 ポストモダンと情報

前回までの原稿で、“近代思想の時代”がいかに幕を下ろしたのか、そこまでは整理できたように思いますが、ポストモダンから今日に至るまでの時代性については、必ずしも検討し切れていないと思うので、ここにフォーカスして、もう少し考えてみます。なお、ポ…

No. 88 共同体と個人(その5)

“近代思想の時代”と“ポストモダンの時代”を明確に区分けすることはできませんが、おおまかに言うと、その移行期は1975年から1990年頃だったような気がします。関連する世界的な出来事を記してみます。 1973年・・・ベトナム戦争終結1976年・・・文化大革命終…

No. 87 共同体と個人(その4)

近代思想の時代というのは、正に“思想”の時代だったと思います。例えば日本国憲法には平和主義、個人主義、自由主義などが定められています。人々はロジックで物事を考え、その行動を規律するための法律が整備された。日本も法治国家になり、国会では与党と…

No. 86 共同体と個人(その3)

宗教国家としてのメンタリティに劇的な変化を及ぼしたのは、第二次世界大戦だったと思います。ヨーロッパでは、ナチスドイツが無数のユダヤ人を虐殺した。そして、広島と長崎に原子力爆弾が投下された訳です。この2つの出来事は、人類に衝撃を与えたに違いあ…

No. 85 共同体と個人(その2)

宗教国家が生まれる直前の日本では、豪族による武力支配と、シャーマニズムに基づく精神世界があったようです。そこで、聖徳太子(574~622)が登場します。聖徳太子に関しましては、どこからどこまでが彼の功績だったのか判然としないようですが、ここでは…

No. 84 共同体と個人(その1)

このブログのNo. 82 ~ No. 83におきまして、“プレモダンのメンタリティ”というタイトルで原稿を掲載致しました。実は、これをシリーズ化して、モダン、ポストモダンへ続けようと思っていたのですが、どうもうまく行きません。一つには、時代区分は4つにすべ…

No. 83 プレモダンのメンタリティ(その2)

No. 83 <プレモダンのメンタリティ(その2)> プレモダンについては、やはり、2つの時代区分に分けて考えた方が良いかも知れません。 ・無文字社会の時代・宗教国家の時代 双方の時代には、共通点もあります。人々の個性や自由は、尊重されなかった。しか…

No. 82 プレモダンのメンタリティ

人間の心のあり様、これはメンタリティと言っていいと思うのですが、これを3つの時代区分で考えるというアイディアは、河合俊雄氏の文献にヒントを得たものです。これが、なかなか興味深い。 <3つの時代区分>プレモダン・・・・前近代モダン・・・・・・近…

No. 75 雑感とブログタイトル変更のお知らせ

武田泰淳の「ひかりごけ」には、人肉喰い(カニバリズム)に対する強烈な嫌悪感という集団の無意識を背景として、全人格が否定される個人(船長)が描かれていました。今どきそんなことはない、と思われる方もおられるでしょうか。確かに、最近はカニバリズ…

No. 74 武田泰淳の「ひかりごけ」を読む(その2)

この作品を読んで、まず、読者の脳裏に強烈な印象を残すのは、第2部、すなわち洞窟のシーンではないでしょうか。登場人物が一人、また一人と死に、残った者がその肉を食べて生き延びる。言うまでもなく、人肉喰いに対する言いようのない嫌悪感というものは、…

No. 73 武田泰淳の「ひかりごけ」を読む(その1)

前回の原稿で、「異類婚姻譚」という集合的無意識を背景とした、“鶴女房”という昔話を取り上げました。その延長線上で、もう少し新しい、集合的無意識を背景とした小説について検討しようと思ったのですが、そこで思いついたのが、表題の「ひかりごけ」だっ…

No. 72 物語を解体する

先日、明け方に目が覚めてしまいました。ぼんやりしながら、少し水を飲み、ベッドに腰かけて煙草に火をつけました。何故か、「鶴の恩返し」のことを考えているのです。それに関連した夢でも見たのでしょうか。そこは、はっきりしません。結局、あの物語は何…