2025-11-01から1ヶ月間の記事一覧
三島由紀夫の小説、「英霊の声」を読みながら、私の背筋はゾクゾクと寒くなった。話は、語り手が木村先生の主催する帰神(かむがかり)の会に出席するところから始まる。ここで行われる方式は、一般の神がかりとは異なり、他感法と呼ばれるもので、石笛(い…
哲学の世界では、人間が目指すべき究極のものを真善美であると考えてきた。それはプラトンから始まり、約2000年後のカント以降まで続いている。人間には目指すべきものがある。しかもそれは、究極の何かなのだ。そう考えたのは、三島由紀夫も同じだろう。但…
前回の原稿で、私は、輪廻転生について東洋では仏陀が、西洋ではプラトンがこれを説き、両者の間に伝播はなかった。「不思議なこともあるものだ」と述べたが、どうやらこの理解は誤りだったらしい。訂正すると共に、お詫び申し上げます。 西洋の方を先に述べ…
そもそも、哲学なんてものに興味を持っている人は、どれ位いるだろう。100人に1人もいないのではないか。哲学は金にならないし、そもそも哲学の勉強などしなくとも、日常生活は一向に困らないのである。むしろ、友人に哲学の話などしようものなら、嫌われる…
「ソクラテスの弁明」は以前、読んでいたが、本稿を書き始めてから「パイドン」、「饗宴」、「ゴルギアス」、「国家」と読み進めてきた。いずれもプラトンの作品である。これらの作品から、プラトンの思想の内実が浮かび上がってくる訳だが、そこに私は奇妙…