文化認識論

(世界を記述する。Since July 2016)

反逆のテクノロジー(その16) 監獄の誕生

ミシェル・フーコーの著作「監獄の誕生」は、哲学書のようであり、歴史書のようでもあり、そして文学書のようでもある不思議な作品だ。フーコーは膨大な史料を読み解き、自らの思想については控えめに記述し、史料自体に語らせるという方法で、この本を書き…

反逆のテクノロジー(その15) 想像力の功罪

私が敬愛するブルース・ギタリストの一人に、ジョニー・ウィンターという人がいる。彼はアルビノで、視力もほとんどなかった。アルビノというのは色素欠乏症のことで、肌は透き通るように白い。髪から眉から、とにかく全身が白いのだ。そんなジョニーが愛し…

反逆のテクノロジー(その14) 労働とベーシックインカム

前回の原稿で、人間はその初期設定の段階で狂気を孕んでいる、ということを述べました。このように考えますと、肩の荷が降りたような、少し楽な気持ちになってきます。これまでの私は、自民党はけしからん、モリ・カケ・サクラはどうなっているんだ、とか、…

グローバリズム、国際金融資本に関するおススメ動画

グローバリズムの手口について三橋貴明氏がYouTubeで分かりやすく説明してくれているので、リンクを貼っておきます。 三橋TV 第296回 グローバリズムは我々の「祖国を愛する気持ち」までをも利用する 26分 https://www.youtube.com/watch?v=K_brhkr6Nfw&t=11…

反逆のテクノロジー(その13) 人間のデフォルト

工場を出荷する段階でのコンピュータは初期設定の状態にあり、これをデフォルトと言う。人間にも、同じことが言えるのではないか。生まれたての人間の状態、人間の初期設定の状態は、どうなっているのだろう。 かつて西洋人は、世界各地を訪れ、先住民たちを…

反逆のテクノロジー(その12) 経済原則に依存した現代のシステム

ミシェル・フーコーは、人間が自ら生きているその時代のエピステーメーを認識することは不可能だと考えていた。そうかも知れない。何しろ、思考の前提から情報から、全て、その時代のエピステーメーに依存しているのだから、それを第三者的に、若しくは客観…

反逆のテクノロジー(その11) 直線の発見

古の哲学者たちは、三角形について考えるのが好きだった。最小限の直線によって、面を構成するのが三角形で、そこから幾何学が始まる。例えば、三角形の内角の和は180度であるとか、そういうことを考えた人がいる。三角形の2辺の長さの和は、残る一辺よりも…

反逆のテクノロジー(その10) 3つの絶望

フランスの哲学者であるミシェル・フーコーは、その生涯を通じて、少なくとも3つの絶望に直面したのだと思います。本稿では、そのことについて書いてみたいと思います。 1.「人間の終焉」という絶望 最初に挙げたいのは、「言葉と物」のラストを飾る「人…

反逆のテクノロジー(その9)私たちを支配するシステム

私たちが生きている世界は、時間と空間によって成り立っていますが、どちらも連続しています。 「静岡県って、どこだっけ?」 「神奈川県の向こうだろう」 私たちは、大体、こんな風に考える訳です。空間は連続している。その連続性の中で、位置を認識するの…

反逆のテクノロジー(その8) フーコーの地図(思想経歴概略)

初めての街を歩くときは、どんなに粗雑な地図であっても、ないよりはあった方が良い。それと同じで、フーコーの思想を学ぼうとしている今、私は、極めて単純な地図のようなものを提供したいと思ったのです。遂に、フーコーの思想が夢に出てきてうなされるよ…

反逆のテクノロジー(その7) 文体について

こんなブログではありますが、4年もやっておりますと、私なりに「もっと自由に書ける文体はないか」、「もっと深く分かりやすく表現できる文体はないか」などということを考えます。小学校の頃、「だである調」と「ですます調」というのを習いました。原則と…

反逆のテクノロジー(その6) 他者の力

「君、今日は寒いだろ。だから、これが欲しくなるんだよ」 文芸評論家の秋山駿さんは、ホワイトホースの水割りの入ったグラスを揺らしながら、そう言って笑った。早稲田の文学部近くにある喫茶店でのことだった。寒いのに、何故、氷の入ったものを飲むのだろ…

反逆のテクノロジー(その5) 狂気への眼差し

皆様は「狂気」という言葉を聞いて、どのような印象をお持ちになるでしょうか。では、「狂人」と言った場合はどうでしょうか。できれば触れたくない、関わりを持ちたくない、とお感じになるのではないでしょうか。しかしフーコーの場合は、違ったようなので…

反逆のテクノロジー(その4) エピステモロジー(科学認識論)とは何か

ここで、若き日のフーコーを取り巻いていた思想界の状況を見ておくことに致します。 まず、エピステモロジー(科学認識論)ということがある。これが何か、良い解説文がなくて探していたのですが、意外にも哲学の入門書(文献6/末尾参照方)にそれを発見す…

反逆のテクノロジー(その3) 狂気に愛された哲学者

ミシェル・フーコーは、ゲイだった。多くのアカデミックな文献は、あまりそのことに触れていない。私は、たまたま手にした「FOR BEGINNERS」という入門書によって、そのことを知った。この本には、かなり生々しい記述がある。フーコーの遺作は「性の歴史」と…

反逆のテクノロジー(その2) 表意文字と表音文字

同一の言語を使っている民族がいたとして、その民族が認識している対象範囲は、その言語を調査すれば分かる、という話があります。例えば、テレビを持たない民族は、テレビという言葉も持たない。そう言えば、発展途上国に駐在している商社マンから、現地の…

反逆のテクノロジー(その1) はじめに

しばらくこのブログの更新が滞っていましたが、主にフランスの哲学者ミシェル・フーコー(1893-1984)を題材とした新規連載、「反逆のテクノロジー」を始めることに致します。本稿の目的は、フーコーの思想的な軌跡を学術的に検討するというものではありま…

暑中お見舞い申し上げます。

日ごとに暑さも増してきましたが、皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。今日、東京都内で確認されたコロナの感染者数は367人となり、記録を更新したそうです。暑きコロナの夏。なんとか生き延びようではありませんか。 さて、石の上にも3年と申…

実体法と手続法

法律は、制定法と判例法、刑事と民事など、いくつかの方法によって区分されますが、永年私が興味を持ってきた区分方法に、「実体法」と「手続法」というものがあります。実体法というのは、現実に即して、実質的な事柄を定めている法律を指します。その典型…

大西つねき氏の除籍について

世間一般の方々にしてみれば、大西氏がれいわ新選組を除籍になったからと言って、左程、インパクトのある話でないでしょう。しかし、支持者にしてみれば、一連の出来事は晴天の霹靂だった訳で、昨夜は熟睡できなかった人も少なくないと思います。 事実関係に…

話し言葉と書き言葉

どうやら1本の線のようなものが見えてきました。そこで今回は、少しまとめのようなことを書いてみることにします。 時間の経過に応じて、人間の社会が持っている常識や価値観は変化する。話はここから始まるのです。確かに、その変化は科学的な発見や環境の…

権力組織の落日

既にこのブログでは、「権力組織」について、何度か述べて来ました。この「権力組織」というのは、「権力を持った組織」という程の意味で、恐縮ながら私の造語です。それがどのような仕組みになっているのか、構成要素に分解してみると、次のようになります…

山本太郎に初めて感じた違和感

5日に投開票のあった東京都知事選ですが、私が推していた山本太郎さんは、惨敗したのでした。これはもう、言い訳のできるレベルではない。ご案内のこととは思いますが、主要な結果だけ、以下に記します。 投票率: 55.00% 得票数と得票率 小池百合子・・・3…

山本太郎と東京都知事選(その6) 埼玉より愛を込めて

権力をシステム化したもの、それが組織である。このテーゼを起点に考えてみますと、どうやらとても本質的な所に論議が及びそうなのです。 子供たちの世界には、ガキ大将が存在する。ガキ大将は、体が大きかったり、喧嘩が強かったりする訳で、子供集団におけ…

山本太郎と東京都知事選(その5) 野党共闘という欺瞞

現在行われている東京都知事選におきましては、立憲、共産、社民などの野党勢力は宇都宮氏を推薦しており、彼らは山本太郎さんが立候補したことについて「野党共闘の足並みを乱す行為だ」として、陰に陽に強力な批判を加えています。太郎さんを応援している…

山本太郎と東京都知事選(その4) エピステーメーと権力組織の経路依存性

つまり、こういうことではないだろうか。すなわち・・・ 権力をシステム化したものが、「組織」である。 上記の組織という言葉は、「権力組織」と言い換えた方がいいかも知れない。社会学においては、目的を持たない人間集団をゲマインシャフトと言い、目的…

山本太郎と東京都知事選(その3) 権力と組織

そもそも、権力とは何か。そんなことを考える訳です。権力は、政治を動かし、経済を動かし、社会を支配している。その源泉は、どこにあるのか。 権力とは、人間が望んでいる事柄を実現するための手段だと思う訳ですが、では、そもそも人間は何を望んでいるの…

山本太郎と東京都知事選(その2)

また1人、単独者が立ち上がった。立憲民主党に離党届を提出した須藤元気さんのことだ。消費税は減税すべきだ、山本太郎さんを応援したい、上の人には引退してもらいたい、とのこと。立憲の幹部にしてみれば、最後の「上の人には引退してもらいたい」というの…

山本太郎と東京都知事選(その1)

れいわ新選組の総会が開かれ、太郎さんの東京都知事選への立候補が取り沙汰されると、ツイッターを中心として、様々な意見が飛び交いました。驚いたことに、れいわ新選組のコアな支持者たちからも少なからず批判の声が挙がりました。そして、昨日、太郎さん…

遂に撮った! 野生のイノシシ

撮影日は、本日、2020年6月10日です。 繁みの中のイノシシ イノシシと目が合う イノシシと対峙する野良猫 撮影場所・・・日本国 猫県 野良郡 にゃんこ村 222番地 にゃんこ村は、実在する!